急性期病院における身体拘束解除に向けたプログラムを用いた看護介入

Ⅰ.はじめに 日本は,急速な高齢化を背景に,医療施設に入院する認知症高齢者は増えている(厚生労働省,2017;内閣府,2018).そして,急性期病院に入院した認知症高齢者は,せん妄や転倒リスクが高く,看護師は,安全管理のために身体拘束を実施する傾向にあり,高齢者の人権が擁護されず,倫理的な問題が生じている.そこで,認知症ケアの質の向上が求められ,日本老年看護学会は「急性期病院において認知症高齢者を擁護する立場表明2016」を発表した.立場4【急性期病院という制約下での本人重視の医療・ケアの推進策を提示する】,4−1【身体拘束を当たり前としない医療・ケア】を掲げ,急性期病院における身体拘束解除へ...

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Published in日本老年看護学会誌(老年看護学) Vol. 24; no. 1; pp. 12 - 18
Main Author 小林 みゆき
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本老年看護学会 2019
一般社団法人 日本老年看護学会
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ISSN1346-9665
2432-0811
DOI10.20696/jagn.24.1_12

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Summary:Ⅰ.はじめに 日本は,急速な高齢化を背景に,医療施設に入院する認知症高齢者は増えている(厚生労働省,2017;内閣府,2018).そして,急性期病院に入院した認知症高齢者は,せん妄や転倒リスクが高く,看護師は,安全管理のために身体拘束を実施する傾向にあり,高齢者の人権が擁護されず,倫理的な問題が生じている.そこで,認知症ケアの質の向上が求められ,日本老年看護学会は「急性期病院において認知症高齢者を擁護する立場表明2016」を発表した.立場4【急性期病院という制約下での本人重視の医療・ケアの推進策を提示する】,4−1【身体拘束を当たり前としない医療・ケア】を掲げ,急性期病院における身体拘束解除への支援は喫緊の課題である.筆者が所属する病棟においても,治療遂行のための安全管理として,日常的に身体拘束を実施している状況にあった.そのため,2017年に「急性期病院における身体拘束解除に向けたプログラム」を用いた取り組みを開始した.その取り組みは,現在も継続しており,身体拘束に対する看護師の意識を変え,身体拘束実施期間の短縮と身体拘束実施患者の認知機能の低下を防ぎ,意欲の向上につながった. そこで,今回「身体拘束解除に向けたプログラム」を用いた取り組みについて報告する.
Bibliography:特集& 「認知症高齢者の尊厳(意思)を重視した看護の取り組み」
ISSN:1346-9665
2432-0811
DOI:10.20696/jagn.24.1_12