長期入院統合失調症患者の家族が退院を受け入れる心理プロセス―同居と別居の差異

要旨 目的:長期入院統合失調症患者の家族が,退院を受け入れる心理プロセスを明らかにすることを目的とした. 方法:研究協力者10名を対象に半構成的面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した. 結果:家族が退院を受け入れる心理プロセスから,29の概念と6つのカテゴリーを見出した.受け入れるプロセスは,患者との同居の有無によって差異があった.別居の家族は,家族自身が振り回されないことが退院の決め手となったが,現在は患者の病状改善に対する喜びを感じていた.一方同居の家族は,家族自身の家庭内が落ち着いたことが決め手となったが,現在は病状悪化の不安があり,患者との保てない距離感...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本看護科学会誌 Vol. 29; no. 4; pp. 88 - 97
Main Authors 香川 里美, 越田 美穂子, 大西 美智恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 21.12.2009
公益社団法人 日本看護科学学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0287-5330
2185-8888
DOI10.5630/jans.29.4_88

Cover

More Information
Summary:要旨 目的:長期入院統合失調症患者の家族が,退院を受け入れる心理プロセスを明らかにすることを目的とした. 方法:研究協力者10名を対象に半構成的面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した. 結果:家族が退院を受け入れる心理プロセスから,29の概念と6つのカテゴリーを見出した.受け入れるプロセスは,患者との同居の有無によって差異があった.別居の家族は,家族自身が振り回されないことが退院の決め手となったが,現在は患者の病状改善に対する喜びを感じていた.一方同居の家族は,家族自身の家庭内が落ち着いたことが決め手となったが,現在は病状悪化の不安があり,患者との保てない距離感や付きまとう家族共倒れの心配を抱いていた. 結論:同居の家族は,別居の家族に比べ,より多くの援助を必要としていることが明らかとなった.看護師は,家族の思いを受容し,患者や家族のQOLの向上のために継続的な支援が必要であることが示唆された.
Bibliography:研究報告
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans.29.4_88