Pusher現象を呈した脳卒中患者に対する作業療法によりADL改善がみられた一症例—身体垂直性の再学習に着目したアプローチと長期経過

要旨:Pusher現象を呈する脳卒中患者のうち約80%は,発症約3ヵ月でPusher現象が消失すると報告されている.Pusher現象が長引く場合,リハビリテーションの効果は低く,ADLの回復に影響を与え,結果入院期間が長期化するとされている.今回,脳卒中発症後3ヵ月以降もPusher現象が残存し,ADLに全介助を要した症例に対して,Pusher現象の発生機序とされている主観的身体垂直(SPV)の再学習を目的に長期的な作業療法を実施した.結果,Pusher現象が軽減し,ADLの自立度が向上した.Pusher現象の発生機序や病態を理解したうえでの,段階的で長期的な作業療法は有効である可能性が示唆さ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in作業療法 Vol. 40; no. 5; pp. 683 - 690
Main Authors 本間 莉那, 大瀧 亮二, 笹原 寛, 斎藤 佑規, 竹村 直
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作業療法士協会 15.10.2021
一般社団法人 日本作業療法士協会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:要旨:Pusher現象を呈する脳卒中患者のうち約80%は,発症約3ヵ月でPusher現象が消失すると報告されている.Pusher現象が長引く場合,リハビリテーションの効果は低く,ADLの回復に影響を与え,結果入院期間が長期化するとされている.今回,脳卒中発症後3ヵ月以降もPusher現象が残存し,ADLに全介助を要した症例に対して,Pusher現象の発生機序とされている主観的身体垂直(SPV)の再学習を目的に長期的な作業療法を実施した.結果,Pusher現象が軽減し,ADLの自立度が向上した.Pusher現象の発生機序や病態を理解したうえでの,段階的で長期的な作業療法は有効である可能性が示唆された.
Bibliography:実践報告
ISSN:0289-4920
2434-4419
DOI:10.32178/jotr.40.5_683