せん妄リスクのある患者への看護実践の知―一般病院におけるエスノグラフィ研究

抄録 本研究は,エスノグラフィの手法を用いて,看護師が日常行っているせん妄リスクのある患者への看護実践を記述し,そこからせん妄ケアの核となる文化的テーマを特定することを目的とした. 研究参加者である一般病院2施設の看護師9人を対象として,せん妄リスクのある患者への看護実践場面を参加観察し,その後,半構造化インタビューを行った.参加観察のフィールドノートおよびインタビューの逐語録をSpradleyの分析手法に則り分析した. 分析の結果,せん妄リスクのある患者への看護実践として7つの要素が特定され,構造化された.せん妄ケアの看護実践を統合する文化的テーマは「患者にとってストレスになるものを予測し,...

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Published in日本老年看護学会誌(老年看護学) Vol. 26; no. 1; pp. 69 - 78
Main Authors 長谷川 真澄, 粟生田 友子, 道信 良子, 木島 輝美, 鳥谷 めぐみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本老年看護学会 31.07.2021
一般社団法人 日本老年看護学会
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Summary:抄録 本研究は,エスノグラフィの手法を用いて,看護師が日常行っているせん妄リスクのある患者への看護実践を記述し,そこからせん妄ケアの核となる文化的テーマを特定することを目的とした. 研究参加者である一般病院2施設の看護師9人を対象として,せん妄リスクのある患者への看護実践場面を参加観察し,その後,半構造化インタビューを行った.参加観察のフィールドノートおよびインタビューの逐語録をSpradleyの分析手法に則り分析した. 分析の結果,せん妄リスクのある患者への看護実践として7つの要素が特定され,構造化された.せん妄ケアの看護実践を統合する文化的テーマは「患者にとってストレスになるものを予測し,安楽にすごせるようにする」であった. 本研究で特定されたせん妄ケアの構造と文化的テーマから,患者を個別性のある全人的な存在としてとらえ,入院治療環境における患者のストレスや基本的ニードをアセスメントし,患者との相互作用を基盤にしながら安楽の増進に向けて援助することが,せん妄ケアの本質として重要である可能性が示唆された.
Bibliography:原著
ISSN:1346-9665
2432-0811
DOI:10.20696/jagn.26.1_69