糖尿病患者の生活様式の変容とその影響要因

要旨 糖尿病患者の教育についてより効果的なアプローチを検討するため,教育入院直後から調査時点までの空腹時血糖値の変動と患者の生活様式の変容との関連性を調べ,その変容を促した要因について分析した. 研究は2段階で行った. 第1段階での調査対象者は,昭和62年9月から11月までの間に,T病院糖尿病専門外来を受診した108名のⅡ型糖尿病患者である.空腹時血糖値を診療録から得,また,患者の生活様式については質問紙調査を行った.個々の空腹時血糖値の変動は教育入院の退院直後半年間と,調査時点より前の半年間の各々の空腹時血糖値の平均値の差とした. 2次調査は,1次調査対象者の中から16例を選出し患者に面接し...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 10; no. 1; pp. 24 - 36
Main Authors 由雄 恵子, 村嶋 幸代, 飯田 澄美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 12.06.1990
公益社団法人 日本看護科学学会
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ISSN0287-5330
2185-8888
DOI10.5630/jans1981.10.1_24

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Summary:要旨 糖尿病患者の教育についてより効果的なアプローチを検討するため,教育入院直後から調査時点までの空腹時血糖値の変動と患者の生活様式の変容との関連性を調べ,その変容を促した要因について分析した. 研究は2段階で行った. 第1段階での調査対象者は,昭和62年9月から11月までの間に,T病院糖尿病専門外来を受診した108名のⅡ型糖尿病患者である.空腹時血糖値を診療録から得,また,患者の生活様式については質問紙調査を行った.個々の空腹時血糖値の変動は教育入院の退院直後半年間と,調査時点より前の半年間の各々の空腹時血糖値の平均値の差とした. 2次調査は,1次調査対象者の中から16例を選出し患者に面接した.同時にその家族に対し郵送法による質問紙調査を行った. その結果,1次調査並びに2次調査を通して以下の知見が得られた.(1)空腹時血糖値の変動は,糖尿病と診断されてからの年数,治療法,食事量及び周囲の人と一緒に食事をする頻度と関連がある.(2)患者の食事量や周囲の人との食事のとり方は,疾患を自分の問題として捉える,主体的な健康観の有無,食事制限のストレス解消方法,教育入院での学び方に影響されていた.(3)家族からの支援がある時,つまり家族に糖尿病への理解や知識があり,患者と家族が共に協力している時には患者も糖尿病に良く対処できていた.
Bibliography:原著
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans1981.10.1_24