慢性疾患患児を抱えた家族のシステムの力と家族対処の分析

要旨 本研究の目的は,家族システムの力(家族の適応力と凝集力)と家族対処行動の関係を分析することである.データ収集は,慢性疾患患児を抱えている家族152名を対象に,日本版Family Adaptability and Cohesion Evaluation Scales IIと家族対処行動に関する質問紙Ⅱの2つの測定用具を用いて行った.分析の結果,以下の事が明らかになった.1)慢性疾患患児を抱えている家族は,適応力,凝集力ともに低い.2)統合的対処パターンは,家族の凝集力が高く,負担の認知が高い場合ほど多くとられる傾向がある.3)方策的対処パターンは,家族の適応力や凝集力と関連性はなく,負担の...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 14; no. 1; pp. 28 - 37
Main Authors 野島 佐由美, 中野 綾美, 宮井 千恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 31.03.1994
公益社団法人 日本看護科学学会
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Summary:要旨 本研究の目的は,家族システムの力(家族の適応力と凝集力)と家族対処行動の関係を分析することである.データ収集は,慢性疾患患児を抱えている家族152名を対象に,日本版Family Adaptability and Cohesion Evaluation Scales IIと家族対処行動に関する質問紙Ⅱの2つの測定用具を用いて行った.分析の結果,以下の事が明らかになった.1)慢性疾患患児を抱えている家族は,適応力,凝集力ともに低い.2)統合的対処パターンは,家族の凝集力が高く,負担の認知が高い場合ほど多くとられる傾向がある.3)方策的対処パターンは,家族の適応力や凝集力と関連性はなく,負担の認知が高いほど多くとられる傾向がある.4)ノーマリゼーション的対処パターンでは,負担の認知が低く,家族の凝集力が高いほど多くとられる傾向にある.5)危機対応対処パターンでは,負担の認知が高く,家族の凝集力が低いほど多くとられる傾向にある.
Bibliography:原著
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans1981.14.1_28