精神疾患の親を持つ子どもが成人後に認識した生きづらさとその要因に関する質的記述的研究—統合失調症圏の母親に関して

要旨 目的:精神疾患の親を持つ子どもが成人後に認識した生きづらさとその要因はどのようなものかを記述することを目的とした. 方法:精神疾患の親を持つ成人7人に個別の半構造化面接を実施し,質的記述的に分析した. 結果:研究協力者の親は6人が統合失調症,1人が妄想性障害だった.成人後の生きづらさには,【母親との関わりや思いが自分の人生の足枷となっている状態】,【母親と過ごす中で行動,思考の癖がしみついた後遺症のような状態】,【親から学べるはずの生きる術が乏しい状態】,【トラウマ体験にとらわれている状態】,【本来の自分や,自分で自分のために生きることがわからない状態】,【他の家庭環境と比べて辛くなる状...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 42; no. 1; pp. 726 - 734
Main Authors 髙坂 日由香, 蔭山 正子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 2022
公益社団法人 日本看護科学学会
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Summary:要旨 目的:精神疾患の親を持つ子どもが成人後に認識した生きづらさとその要因はどのようなものかを記述することを目的とした. 方法:精神疾患の親を持つ成人7人に個別の半構造化面接を実施し,質的記述的に分析した. 結果:研究協力者の親は6人が統合失調症,1人が妄想性障害だった.成人後の生きづらさには,【母親との関わりや思いが自分の人生の足枷となっている状態】,【母親と過ごす中で行動,思考の癖がしみついた後遺症のような状態】,【親から学べるはずの生きる術が乏しい状態】,【トラウマ体験にとらわれている状態】,【本来の自分や,自分で自分のために生きることがわからない状態】,【他の家庭環境と比べて辛くなる状態】があった. 結論:生きづらさは様々な要因から引き起こされ,強化されたと認識されていた.成人後の生きづらさを社会が知り,支援や治療を進めること,子ども時代から家族支援を進めていく必要がある.
Bibliography:原著
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans.42.726