慢性期脳卒中患者の麻痺手使用の実現に向けてADOCによる目標設定と上肢への複合療法(電気刺激療法,装具療法,促通反復療法,CI療法)を実施した一例

要旨:脳卒中慢性期の重度片麻痺例に対し,先端機器を備えていない施設において行った具体的介入や,その経過を共有することは意義がある.今回,発症から13年経過した重度上肢麻痺を呈した脳卒中患者に対し,ADOCを用いた目標設定を行い,電気刺激療法や装具療法,促通反復療法,CI療法を用いて複合的に介入した.その結果,麻痺手の機能は介入前後で大きく変化しなかったが,麻痺手による意味のある作業を獲得でき,主観的評価も改善した.本事例への介入は,限られた設備環境であっても実現可能な内容である.麻痺手機能の向上と日常生活での麻痺手の使用を促す関わりは,重度片麻痺患者の意味のある作業に寄与する可能性がある....

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Published in作業療法 Vol. 40; no. 3; pp. 336 - 343
Main Authors 岸 優斗, 竹林 崇, 堀 翔平, 花田 恵介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作業療法士協会 15.06.2021
一般社団法人 日本作業療法士協会
Subjects
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ISSN0289-4920
2434-4419
DOI10.32178/jotr.40.3_336

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Summary:要旨:脳卒中慢性期の重度片麻痺例に対し,先端機器を備えていない施設において行った具体的介入や,その経過を共有することは意義がある.今回,発症から13年経過した重度上肢麻痺を呈した脳卒中患者に対し,ADOCを用いた目標設定を行い,電気刺激療法や装具療法,促通反復療法,CI療法を用いて複合的に介入した.その結果,麻痺手の機能は介入前後で大きく変化しなかったが,麻痺手による意味のある作業を獲得でき,主観的評価も改善した.本事例への介入は,限られた設備環境であっても実現可能な内容である.麻痺手機能の向上と日常生活での麻痺手の使用を促す関わりは,重度片麻痺患者の意味のある作業に寄与する可能性がある.
Bibliography:実践報告
ISSN:0289-4920
2434-4419
DOI:10.32178/jotr.40.3_336