災害支援検討委員会活動報告─実践編「災害急性期から亜急性期にかけての避難所における認知症高齢者のケア」

はじめに,熊本地震の際の避難所の例をご紹介させていただくこととする.認知症の母といっしょに避難している人からのメッセージである.「看てくれる人がいるだけで助かります.なだめ,納得させるのに,精一杯です.食料や水まで気が回りません.目を離すと,外に出ます.布団被って寝てほしい,といっても,寝てくれない.強い余震がきても,ボーッと,椅子に座ったままです.水が一瞬出たいま,歯を磨こう,と声かけても,動きません」. 災害発生から72時間の急性期では,看護師の役割は,①救護所・避難所の立ち上げ,②ライフラインの確保,③救命,救急看護,④トリアージ,⑤集中治療看護,⑥遺体の処置,対応,⑦心のケア,⑧巡回診...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本老年看護学会誌(老年看護学) Vol. 21; no. 2; pp. 83 - 85
Main Authors 松岡 千代, 六角 僚子, 太田 喜久子, 湯浅 美千代, 佐藤 和佳子, 小野 幸子, 千田 睦美, 渡辺 みどり, 梨木 恵実子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本老年看護学会 31.01.2017
一般社団法人 日本老年看護学会
Online AccessGet full text
ISSN1346-9665
2432-0811
DOI10.20696/jagn.21.2_83

Cover

More Information
Summary:はじめに,熊本地震の際の避難所の例をご紹介させていただくこととする.認知症の母といっしょに避難している人からのメッセージである.「看てくれる人がいるだけで助かります.なだめ,納得させるのに,精一杯です.食料や水まで気が回りません.目を離すと,外に出ます.布団被って寝てほしい,といっても,寝てくれない.強い余震がきても,ボーッと,椅子に座ったままです.水が一瞬出たいま,歯を磨こう,と声かけても,動きません」. 災害発生から72時間の急性期では,看護師の役割は,①救護所・避難所の立ち上げ,②ライフラインの確保,③救命,救急看護,④トリアージ,⑤集中治療看護,⑥遺体の処置,対応,⑦心のケア,⑧巡回診療,⑨救護物資の搬出・供給,⑩復旧作業の推進があげられる.災害発生72時間〜1か月の亜急性期では,看護師は①被災者の援助,②保健と防疫,③被災地の保全,④急性慢性疾患看護,⑤巡回診療,感染対策,⑥生活指導,心のケアという役割を担う.多様な役割を病院・施設,行政,避難所や生活の場で担っていくことになる.
Bibliography:委員会報告
ISSN:1346-9665
2432-0811
DOI:10.20696/jagn.21.2_83