がんの終末期で症状緩和をうける患者の家族のストレス・コーピング―一般病棟と緩和ケア病棟の比較

要旨 本研究は,がんの終末期で症状緩和のためのケアを受ける患者にかかわる家族のストレス・コーピングにはどのようなものがあるのか,また一般病棟の家族と緩和ケア病棟の家族とでは,どのような相違があるのかを明らかにすることを目的とした。 医師より患者の病名・予後について知らされており,患者の身の回りの世話などを行う家族員35名を対象とし,面接法と参加観察を行い,得られた質的データを分析した。 その結果,以下の知見が得られた。一般病棟の家族と緩和ケア病棟の家族の体験している困難・心配などは共通の要素を持ちながら内容において,①患者の苦痛,②今後の患者の病状,③患者の症状緩和,④患者の死期が近いこと,⑤...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 16; no. 3; pp. 10 - 20
Main Author 吉田 智美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 28.11.1996
公益社団法人 日本看護科学学会
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ISSN0287-5330
2185-8888
DOI10.5630/jans1981.16.3_10

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Summary:要旨 本研究は,がんの終末期で症状緩和のためのケアを受ける患者にかかわる家族のストレス・コーピングにはどのようなものがあるのか,また一般病棟の家族と緩和ケア病棟の家族とでは,どのような相違があるのかを明らかにすることを目的とした。 医師より患者の病名・予後について知らされており,患者の身の回りの世話などを行う家族員35名を対象とし,面接法と参加観察を行い,得られた質的データを分析した。 その結果,以下の知見が得られた。一般病棟の家族と緩和ケア病棟の家族の体験している困難・心配などは共通の要素を持ちながら内容において,①患者の苦痛,②今後の患者の病状,③患者の症状緩和,④患者の死期が近いこと,⑤患者の近い死に対する受けとめ,⑥患者の役割不遂行という6項目での相違と,①面会(付き添い)での困難,②病名告知・予後という2項目での類似が見られた。体験に対するコーピングは,内容において問題志向的タイプより感情志向的タイプにより多くの相違が見られた。
Bibliography:原著
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans1981.16.3_10