慢性的な体の痛みのある高齢者への看護

Ⅰ.はじめに 「人の痛みは3年待てる(人の痛いのは3年でも辛抱する)」というたとえがある.人がどんなに痛みで困っていようと周りの者は平気であるという意味である.体の痛みは,周囲の人にはみえない症状であり,その人がどんなに痛かったとしても周りの人にはわかりにくいという側面がある.看護職者も高齢者が痛みを訴えなかったり,看護職者が痛みを見つけだしたりしようとする姿勢がないと,痛みの存在に気づかない可能性がある.さらに体の痛みは,血圧や血糖値のように,客観的に測定するような生理学的な指標もなく,痛みの強さや性質を他者と正確に共有することは難しい.しかし,慢性的な体の痛みは高齢者にとって悪影響を与えや...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本老年看護学会誌(老年看護学) Vol. 26; no. 2; pp. 22 - 26
Main Author 高井 ゆかり
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本老年看護学会 31.01.2022
Online AccessGet full text
ISSN1346-9665

Cover

More Information
Summary:Ⅰ.はじめに 「人の痛みは3年待てる(人の痛いのは3年でも辛抱する)」というたとえがある.人がどんなに痛みで困っていようと周りの者は平気であるという意味である.体の痛みは,周囲の人にはみえない症状であり,その人がどんなに痛かったとしても周りの人にはわかりにくいという側面がある.看護職者も高齢者が痛みを訴えなかったり,看護職者が痛みを見つけだしたりしようとする姿勢がないと,痛みの存在に気づかない可能性がある.さらに体の痛みは,血圧や血糖値のように,客観的に測定するような生理学的な指標もなく,痛みの強さや性質を他者と正確に共有することは難しい.しかし,慢性的な体の痛みは高齢者にとって悪影響を与えやすい.そのようななか,われわれ看護職者はなにをすべきだろうか.ここでは,高齢者の慢性的な体の痛みについての説明を行い,それに対する研究について紹介する.
Bibliography:特集1 日本老年看護学会第26回学術集会
ISSN:1346-9665