糸井武の「二代目十返舎一九」としての著作活動考

糸井武の天保四年「二代目十返舎一九」公表後の作品の書誌を精査した結果、今まで曖昧であった幾つかの書誌学的問題を、次のように解明することができた。 先ず以て、天保四年に刊行された合巻や人情本を調べた結果、特に、『深契情話恋の若竹』について、その一、稿者推定文政十三年成立の初編が天保四年に再版本として刊行されたこと、その二、二編は「天保七のとし上浣」だが、奥付や表紙からして二・三編同時印刷ではなかろうこと、その三、天保七年に江戸を逃げた糸井が、三編序文に「十返舎一九」と堂々と署名することから、少なくとも天保八年まで三編は刊行されていただろうことを推論することができた。 そして、天保五年には代数抜き...

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Published in日本學硏究, 62(0) pp. 193 - 208
Main Author 강지현
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 일본연구소 15.01.2021
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Summary:糸井武の天保四年「二代目十返舎一九」公表後の作品の書誌を精査した結果、今まで曖昧であった幾つかの書誌学的問題を、次のように解明することができた。 先ず以て、天保四年に刊行された合巻や人情本を調べた結果、特に、『深契情話恋の若竹』について、その一、稿者推定文政十三年成立の初編が天保四年に再版本として刊行されたこと、その二、二編は「天保七のとし上浣」だが、奥付や表紙からして二・三編同時印刷ではなかろうこと、その三、天保七年に江戸を逃げた糸井が、三編序文に「十返舎一九」と堂々と署名することから、少なくとも天保八年まで三編は刊行されていただろうことを推論することができた。 そして、天保五年には代数抜きで「十返舎の大人」と呼ばれていたことを確認した上で、『操形黄楊小櫛』三編は天保七年刊行、『続々膝栗毛』三編は天保七年正月刊行に違いないと、先行研究の補訂を施した。猶、「二代目・一九重一作」『英画口合俄』という存疑作の存在まで報告できた次第である。 As a result on considering the bibliographic research method about the works after the publication of Jippensya-ikkuⅡ of Itoi-takesi in 1833, it was found the following things. First, through bibliographic research of Gokan and Ninjyobon, published in 1833, the Ninjyobon “Sinkeizyowa-koinowakatake”, it was found the following things. (1) The first volume, established in 1830, was published as a reprinted book in 1833. (2) The second and third volumes were not printed at the same time. (3) Since Itoi escaped Edo in 1836, the third volume would have been published until 1837. Second, he did not write any generations in 1834, but he was simply called the “jippensyano-nusi”. Third, I reinforced and retouched the previous research that the third volume of the “Misaogata-chugenoogusi” must be published in 1836, and the third volume of “Zokuzoku-hizakurige” must be published on January in 1836. Fourth, I reported the existence of a problematic work called “Hanabusa-ekuchiai-niwaka” by Ikku-zyuichiⅡ. KCI Citation Count: 2
ISSN:1598-737X
2465-8448
DOI:10.18841/2021.62.08