林齢の異なる小面積林分からなる森林における腐肉食性甲虫(腐肉食性シデムシとコガネムシ上科糞虫)群集の反応

簡易な方法で捕獲した腐肉食性甲虫(シデムシ科とコガネムシ上科食糞群)群集の森林環境に対する指標性を評価するため,2012年に熊本市内の林齢が異なる小面積林分からなる森林内の15林分で魚肉を誘引餌としたピットフォールトラップを1個設置した。その結果,13種7,667個体の腐肉食性甲虫が捕獲された。種数,総捕獲数,シンプソンの多様度指数と6種の捕獲数は,林齢と有意な正の関係を示した。また,林分を林齢に伴う3グループ(新植地,若齢林と壮齢林)に分け,指標種分析を行ったところ,有意な指標種が若齢林に1種,壮齢林に7種みられた。非計量多次元尺度構成法(NMS)による各林分群集の座標付けにおいても,若齢林...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Shinrin Gakkaishi Vol. 98; no. 5; pp. 207 - 213
Main Author 上田, 明良
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.10.2016
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:簡易な方法で捕獲した腐肉食性甲虫(シデムシ科とコガネムシ上科食糞群)群集の森林環境に対する指標性を評価するため,2012年に熊本市内の林齢が異なる小面積林分からなる森林内の15林分で魚肉を誘引餌としたピットフォールトラップを1個設置した。その結果,13種7,667個体の腐肉食性甲虫が捕獲された。種数,総捕獲数,シンプソンの多様度指数と6種の捕獲数は,林齢と有意な正の関係を示した。また,林分を林齢に伴う3グループ(新植地,若齢林と壮齢林)に分け,指標種分析を行ったところ,有意な指標種が若齢林に1種,壮齢林に7種みられた。非計量多次元尺度構成法(NMS)による各林分群集の座標付けにおいても,若齢林の1座標を除くと,林齢に伴う3グループは分かれた。以上の結果から,今回の方法で得られた腐肉食性甲虫群集は,小面積林分がモザイク状に存在する森林において,環境に対して優れた指標性を示し,林齢に伴う森林環境の変化に反応していると考えられた。
Bibliography:ZZ20018854
903429
ISSN:1349-8509