千葉県のナシ園におけるチャノキイロアザミウマ(アザミウマ目: アザミウマ科)越冬後成虫の春季飛翔開始に及ぼす気象条件の影響

ニホンナシにおけるチャノキイロアザミウマ越冬後成虫の活動開始に気象条件が与える影響を明らかにするため,ナシ園に設置した黄色粘着トラップにおける本種成虫の捕獲数を2012~2015年に調査した。本種のトラップへの捕獲はニホンナシが集中的に栽培されている区画の地表付近で多く,ナシ園内で多くの個体が越冬していると考えられた。地上50cmに設置したトラップで地上200cmに設置したトラップよりも多くの個体が捕獲されたことから,地上50cmのトラップによって地表から離脱した越冬後成虫を調査できることが示された。ロジスティック回帰分析から,越冬後成虫の捕獲確率(Pc)に対し,最高気温および日照時間は正の,...

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Published inNihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi Vol. 63; no. 3; pp. 123 - 130
Main Authors 中井, 善太, 河名, 利幸, 大谷, 徹, 清水, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.08.2019
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Summary:ニホンナシにおけるチャノキイロアザミウマ越冬後成虫の活動開始に気象条件が与える影響を明らかにするため,ナシ園に設置した黄色粘着トラップにおける本種成虫の捕獲数を2012~2015年に調査した。本種のトラップへの捕獲はニホンナシが集中的に栽培されている区画の地表付近で多く,ナシ園内で多くの個体が越冬していると考えられた。地上50cmに設置したトラップで地上200cmに設置したトラップよりも多くの個体が捕獲されたことから,地上50cmのトラップによって地表から離脱した越冬後成虫を調査できることが示された。ロジスティック回帰分析から,越冬後成虫の捕獲確率(Pc)に対し,最高気温および日照時間は正の,平均風速は負の効果を及ぼすことが明らかになった。全捕獲個体の99%以上は,最高気温17.5℃以上,平均風速2.7m/s以下,日照時間3.7時間以上のいずれかの条件となった日に捕獲された。以上の結果から,1月1日を起点とした有効積算温度にPcの情報を組み合わせることで,従来よりも正確に本種の捕獲ピークを予測できることが示された。
Bibliography:928532
ZZ00014825
ISSN:0021-4914