魚類寄生性甲殻類フグノクチヤドリ(等脚目:ウオノエ科)の追加記録とマンカの形態

魚類寄生性甲殻類フグノクチヤドリ(等脚目:ウオノエ科)は沿岸性のフグ類に寄生することが知られるが,分布や生活史は不明である。今回,太平洋岸で採集され,水族館や博物館で飼育されていたショウサイフグから,雌雄成体1対,マンカ6個体,幼体1個体が発見された。そこで本論文では,フグノクチヤドリの分布,生活史および近縁種との関係に関する情報を追加するため,形態学的観察,分子遺伝学的種同定および系統解析を行った。フグノクチヤドリのマンカの形態的特徴は,動物プランクトンとして採集されたManca type 2に類似していた。また,分子遺伝学的解析の結果,フグノクチヤドリの16S rRNA配列は,既報のヒゲブ...

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Published inNihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi Vol. 67; no. 2; pp. 37 - 45
Main Authors 藤田, 大樹, 齋藤, 暢宏, 奥野, 淳兒, 森滝, 丈也, 山内, 健生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.05.2023
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Summary:魚類寄生性甲殻類フグノクチヤドリ(等脚目:ウオノエ科)は沿岸性のフグ類に寄生することが知られるが,分布や生活史は不明である。今回,太平洋岸で採集され,水族館や博物館で飼育されていたショウサイフグから,雌雄成体1対,マンカ6個体,幼体1個体が発見された。そこで本論文では,フグノクチヤドリの分布,生活史および近縁種との関係に関する情報を追加するため,形態学的観察,分子遺伝学的種同定および系統解析を行った。フグノクチヤドリのマンカの形態的特徴は,動物プランクトンとして採集されたManca type 2に類似していた。また,分子遺伝学的解析の結果,フグノクチヤドリの16S rRNA配列は,既報のヒゲブトウオノエ属の一種Ceratothoa sp. 2と一致し,系統樹においてもヒゲブトウオノエ属のクレードに含まれたため,ウオノクチヤドリ属とヒゲブトウオノエ属の関係は再検討する必要があることが示唆された。本論文は本邦太平洋岸におけるフグノクチヤドリの初記録であるとともに,本種の第2記録である。
Bibliography:947297
ZZ00014825
ISSN:0021-4914