海洋深層水(低水温)を利用したクロダイ稚魚の耳石バーコード標識

1997-2000年に、富山湾から取水している低温の海洋深層水(2-3℃)を活用してクロダイ稚魚(平均全長(L)3.5-77.7mm)の飼育水温を5℃または10℃昇降温させ、耳石(扁平石)にバーコード標識(耳石日周輪の中に複数の障害輪をパターン化して挿入したもの)を形成することが可能かどうか検討した。バーコード標識は、L30mm前後の稚魚に高率で形成され、これにより大きな稚魚では確率が劣り、L77mmでは10℃の昇降温でもバーコード標識は形成されなかった。また、L14mm以下の稚魚では飼育水温の昇降により生残率が低く、バーコード標識も耳石中心部の不透明帯と重なり確認できなかった。この標識方法は...

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Published in富山県水産試験場研究報告 = Bulletin of Toyama Prefectural Fisheries Experiment Station no. 15; pp. 19 - 26
Main Authors 渡辺, 健, 堀田, 和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.03.2004
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ISSN0915-6542

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Summary:1997-2000年に、富山湾から取水している低温の海洋深層水(2-3℃)を活用してクロダイ稚魚(平均全長(L)3.5-77.7mm)の飼育水温を5℃または10℃昇降温させ、耳石(扁平石)にバーコード標識(耳石日周輪の中に複数の障害輪をパターン化して挿入したもの)を形成することが可能かどうか検討した。バーコード標識は、L30mm前後の稚魚に高率で形成され、これにより大きな稚魚では確率が劣り、L77mmでは10℃の昇降温でもバーコード標識は形成されなかった。また、L14mm以下の稚魚では飼育水温の昇降により生残率が低く、バーコード標識も耳石中心部の不透明帯と重なり確認できなかった。この標識方法は、魚体に損傷を与えることなく、温度パターンを変えることにより複数の標識を耳石につけることが可能であるため、大量の稚魚に処理を施すことが可能である。放流魚にこのバーコード標識を付けることにより、追跡調査を実施するうえで有用な手段となりうる。
Bibliography:691250
ZZ00013149
ISSN:0915-6542