機能性表示食品における届出資料の科学的信頼性に関する検討

2022年4月から8月に届出された機能性表示食品の届出資料を網羅的に解析し,機能性表示の根拠であるシステマティックレビュー(SR)の科学的な信頼性を検討した.398製品,611件の機能性表示を検討した結果,機能性関与成分121種,表示されているヘルスクレーム(Hc)は87種と多岐にわたり,複数の機能性を有する機能性関与成分が多数存在していた.機能性の根拠としてSRが87%,メタアナリシスが10%,最終製品を用いた臨床試験が3%届出されていた.これらのSRのうち,その39%が論文1報を採用したSRであった.また,採用論文が1報のSRのうち67%において,採用論文の著者の一部とSR実施者の所属が同...

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Published inShokuhin eiseigaku zasshi Vol. 65; no. 2; pp. 31 - 39
Main Authors 吉松, 嘉代, 千葉, 剛, 竹林, 純, 鈴木, 一平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本食品衛生学会 25.04.2024
日本食品衛生学会
Subjects
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ISSN0015-6426
1882-1006
DOI10.3358/shokueishi.65.31

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Summary:2022年4月から8月に届出された機能性表示食品の届出資料を網羅的に解析し,機能性表示の根拠であるシステマティックレビュー(SR)の科学的な信頼性を検討した.398製品,611件の機能性表示を検討した結果,機能性関与成分121種,表示されているヘルスクレーム(Hc)は87種と多岐にわたり,複数の機能性を有する機能性関与成分が多数存在していた.機能性の根拠としてSRが87%,メタアナリシスが10%,最終製品を用いた臨床試験が3%届出されていた.これらのSRのうち,その39%が論文1報を採用したSRであった.また,採用論文が1報のSRのうち67%において,採用論文の著者の一部とSR実施者の所属が同一であるなど,利益相反が懸念された.また,SRに採用された論文の臨床試験参加者数の中央値は38人と比較的小規模であり,SRの延べ人数として最小は6人であった.このように,機能性表示食品のSRには,単一の論文のみを根拠としていたり,少規模の臨床試験に基づくなど,科学的根拠として信頼性が乏しいものが少なからず存在する実態が示された.
Bibliography:ZZ00009680
951335
ISSN:0015-6426
1882-1006
DOI:10.3358/shokueishi.65.31