食品添加物公定書収載品目における基原生物に使用される学名の考え方とその表記法

天然物由来の食品添加物では,その基原生物が一義的に特定されるよう,成分規格に基原生物の学名および和名が明記されている.誤った基原生物の使用は想定外の健康被害を招く恐れがあり,学名や和名の正確性は添加物の有効かつ安全な使用に欠かせない.しかし,過去に公的な成分規格等で定義された学名が最新の分類学による学名と一致せず,詳しい調査が必要とされることが多々ある.そこで,食品添加物の原料の範囲を合理的かつ持続的に制御するために,トレーサビリティに重点をおいた方針を策定し,具体的な学名および和名の調査法および表記法を定めた.この方針に従い,既存添加物である「香辛料抽出物」,「アラビアガム」および「カラギナ...

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Published inShokuhin eiseigaku zasshi Vol. 64; no. 2; pp. 78 - 88
Main Authors 杉本, 直樹, 増本, 直子, 佐藤, 恭子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本食品衛生学会 25.04.2023
日本食品衛生学会
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ISSN0015-6426
1882-1006
DOI10.3358/shokueishi.64.78

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Summary:天然物由来の食品添加物では,その基原生物が一義的に特定されるよう,成分規格に基原生物の学名および和名が明記されている.誤った基原生物の使用は想定外の健康被害を招く恐れがあり,学名や和名の正確性は添加物の有効かつ安全な使用に欠かせない.しかし,過去に公的な成分規格等で定義された学名が最新の分類学による学名と一致せず,詳しい調査が必要とされることが多々ある.そこで,食品添加物の原料の範囲を合理的かつ持続的に制御するために,トレーサビリティに重点をおいた方針を策定し,具体的な学名および和名の調査法および表記法を定めた.この方針に従い,既存添加物である「香辛料抽出物」,「アラビアガム」および「カラギナン」について,基原生物を精査したところ,学名や和名の決定はおおむね可能であったが,一部の生物で学名改変に伴い想定する種の範囲が広がるものもあった.トレーサビリティ確保の方針は有用だが,それに従った結果,成分規格等で定義された種と異なる種が含まれることにならないか等の確認も必要だと考える.
Bibliography:ZZ00009680
947037
ISSN:0015-6426
1882-1006
DOI:10.3358/shokueishi.64.78