海産物由来ヒ素化合物の生体影響と体内動態
「1. はじめに」ヒ素の毒性が高いことはこれまでに起こったさまざまな殺人事件や事故を通じて周知の事実となっている. すでに古代ギリシアやローマではヒ素が殺人や自殺に用いられていたと言われており, またわが国でも森永ヒ素ミルク中毒事件や和歌山毒物カレー事件などのヒ素中毒事件を経験している. その一方で, われわれが呼吸や飲食物の摂取を通じて日常的にヒ素を体内に取り込んでいることはあまり知られていない. 実はわれわれは空気中に存在する超微量のヒ素や, 飲食物中に種々の濃度で含まれるヒ素を無意識のうちに取り込み, これらを代謝および排泄しながら生活している. また通常の環境下で摂取されるヒ素の多くは...
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Published in | Shokuhin eiseigaku zasshi Vol. 51; no. 3; pp. 71 - 91 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本食品衛生学会
25.06.2010
日本食品衛生学会 |
Subjects | |
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Summary: | 「1. はじめに」ヒ素の毒性が高いことはこれまでに起こったさまざまな殺人事件や事故を通じて周知の事実となっている. すでに古代ギリシアやローマではヒ素が殺人や自殺に用いられていたと言われており, またわが国でも森永ヒ素ミルク中毒事件や和歌山毒物カレー事件などのヒ素中毒事件を経験している. その一方で, われわれが呼吸や飲食物の摂取を通じて日常的にヒ素を体内に取り込んでいることはあまり知られていない. 実はわれわれは空気中に存在する超微量のヒ素や, 飲食物中に種々の濃度で含まれるヒ素を無意識のうちに取り込み, これらを代謝および排泄しながら生活している. また通常の環境下で摂取されるヒ素の多くは, 呼吸器や皮膚からの吸収よりもむしろ飲食物の摂取に由来することが知られている. そのため体重70kgの成人の体内には常に約7mgのヒ素が普遍的に存在すると言われている. 一般に陸上植物は根から土壌中のヒ素を吸収し, 動物は食物からヒ素を吸収しているため, われわれが日常的に摂食している野菜類, 果実類, 肉類にはいずれも微量のヒ素 (1mg As/kg以下) が含まれている. |
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Bibliography: | 792323 ZZ00009680 |
ISSN: | 0015-6426 1882-1006 |
DOI: | 10.3358/shokueishi.51.71 |