農村地域在住特定高齢者における, 生活機能・身体機能の関連からみた至適血中ビタミンD濃度の検討
〔目的〕血中ビタミンDの至適濃度に関しては一致した見解がない。そこで,生活機能・生活の質・身体機能の観点から血清25-hydroxyvitamin D[以下25(OH)D]の至適濃度を検討することを目的とした。 〔方法〕平成18年から平成20年までに,介護予防運動教室に参加した茨城県Y町とS市 (北緯36度) に在住の65歳以上の特定高齢者125名を対象とした。25(OH)D濃度が50nmol/L以上と未満,75nmol/L以上と未満で生活機能・身体機能等を比較検討した。また,開始時と3か月後の体力測定を各群で比較した。 〔結果〕ベイスラインの時点で平均25(OH)D(±SD)濃度は58.9±...
Saved in:
Published in | Nihon Nōson Igakkai zasshi Vol. 57; no. 5; pp. 704 - 712 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
01.01.2009
日本農村医学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 〔目的〕血中ビタミンDの至適濃度に関しては一致した見解がない。そこで,生活機能・生活の質・身体機能の観点から血清25-hydroxyvitamin D[以下25(OH)D]の至適濃度を検討することを目的とした。 〔方法〕平成18年から平成20年までに,介護予防運動教室に参加した茨城県Y町とS市 (北緯36度) に在住の65歳以上の特定高齢者125名を対象とした。25(OH)D濃度が50nmol/L以上と未満,75nmol/L以上と未満で生活機能・身体機能等を比較検討した。また,開始時と3か月後の体力測定を各群で比較した。 〔結果〕ベイスラインの時点で平均25(OH)D(±SD)濃度は58.9±13.6nmol/Lであった。25(OH)D<50.0nmol/Lの者は23.9%おり,「外出回数が週1回未満」の者,自分の生活の質が「悪い,非常に悪い」者の割合が高かった。介護予防運動教室実施後にTimed Up & Go (移動能力の指標) は25(OH)D≥50.0nmol/L群で改善を示した。また,25(OH)D<75.0nmol/Lの者は87.2%おり,生活機能が低下している者が多かった。介護予防運動教室実施後に25(OH)D≥75.0nmol/L群ではステップテスト (下肢筋力の指標) が改善を示した。 〔結論〕特定高齢者の87.2%は25(OH)D濃度が75nmol/L未満であった。特定高齢者の下肢筋力や生活機能を維持するためには,75nmol/L以上の25(OH)D濃度が必要である可能性が示唆された。 |
---|---|
Bibliography: | ZZ00011651 771547 |
ISSN: | 0468-2513 1349-7421 |
DOI: | 10.2185/jjrm.57.704 |