耐性菌情報データベースの改良

今日,医療の現場で抗菌薬が広く使用されるに伴い,術後の予防投与や漫然とした長期投与によって菌交代現象や薬剤耐性菌の定着が起こり大きな問題となっている1)。薬剤耐性菌は,薬剤の不適切な使用により発現し易いため,茨城西南医療センター病院では,ICTによる病棟ラウンドや特定抗菌薬使用届,耐性菌報告書を用いて対応してきた。当初,特定抗菌薬使用届と耐性菌報告書の2種類の情報は別々に管理していたが,今回,データベースを利用して2つの情報を患者IDでリレーションをとることで,1画面に表示・入力できるようになった。これによりMRSA保菌者への抗MRSA薬の不適切な使用を見つけ出し易くなり,ESBL産生菌が発現...

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Published inNihon Nōson Igakkai zasshi Vol. 58; no. 1; pp. 34 - 38
Main Authors 平石, 啓, 岩野, 弘法, 佐藤, 和代, 松村, 壮, 小石沢, 正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2009
日本農村医学会
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Summary:今日,医療の現場で抗菌薬が広く使用されるに伴い,術後の予防投与や漫然とした長期投与によって菌交代現象や薬剤耐性菌の定着が起こり大きな問題となっている1)。薬剤耐性菌は,薬剤の不適切な使用により発現し易いため,茨城西南医療センター病院では,ICTによる病棟ラウンドや特定抗菌薬使用届,耐性菌報告書を用いて対応してきた。当初,特定抗菌薬使用届と耐性菌報告書の2種類の情報は別々に管理していたが,今回,データベースを利用して2つの情報を患者IDでリレーションをとることで,1画面に表示・入力できるようになった。これによりMRSA保菌者への抗MRSA薬の不適切な使用を見つけ出し易くなり,ESBL産生菌が発現した場合も,患者が過去に使用した抗菌薬の種類・頻度が一目で分るようになった。また,期間を指定し病棟別に2種類の情報を載せた一覧が表示・印刷できるようになった。今回の改良により作業の簡素化と2種類の情報を関連付けることが可能となり,入院患者の特定抗菌薬の使用と耐性菌検出状況の管理を行なうための良きツールとなり,特定抗菌使用届と耐性菌報告書が一層感染対策に活用できるようになったと考える。今後も院内での抗菌薬使用状況と耐性菌検出状況を的確に把握し,得られた情報をスタッフ間で共有していくことにより感染対策に貢献していきたい。
Bibliography:ZZ00011651
773101
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.58.34