降雨因子に応じた林道災害発生頻度モデルのベイズ推定―空間的・時間的解像度が低い林道台帳等のデータからの推定手法

気候変動下の将来の林道災害発生件数を定量的に予測するためには,降雨因子に応じた林道災害発生頻度モデルが必要であり,その推定には長期かつ広域の林道災害データが必要となる。全国の林道で整備されている林道台帳は有効なデータソースとなり得るが,林道台帳からは個々の災害発生時の降雨因子の水準は特定できない。本研究では,路線・年ごとの合計被災箇所数のみが把握可能な林道台帳等の「解像度の低い」データから,降雨因子を説明変数とした林道災害発生頻度モデルを推定する手法を提示した。災害発生時の降雨因子が特定可能な富山県の過去21年間の林道災害データを用いて推定したモデルと,同じデータを林道台帳等と同等の路線・年単...

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Published inNihon Shinrin Gakkaishi Vol. 105; no. 9; pp. 298 - 305
Main Authors 鈴木, 秀典, 宗岡, 寛子, 白澤, 紘明, 図子, 光太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本森林学会 01.09.2023
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ISSN1349-8509
1882-398X
DOI10.4005/jjfs.105.298

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Summary:気候変動下の将来の林道災害発生件数を定量的に予測するためには,降雨因子に応じた林道災害発生頻度モデルが必要であり,その推定には長期かつ広域の林道災害データが必要となる。全国の林道で整備されている林道台帳は有効なデータソースとなり得るが,林道台帳からは個々の災害発生時の降雨因子の水準は特定できない。本研究では,路線・年ごとの合計被災箇所数のみが把握可能な林道台帳等の「解像度の低い」データから,降雨因子を説明変数とした林道災害発生頻度モデルを推定する手法を提示した。災害発生時の降雨因子が特定可能な富山県の過去21年間の林道災害データを用いて推定したモデルと,同じデータを林道台帳等と同等の路線・年単位の解像度に落としたデータを用いて提案手法で推定したモデルを比較したところ,最大24時間雨量100~400 mmの降雨イベントの下での災害発生頻度(箇所/km・回)の期待値は両モデルでオーダーが一致していた。対象とする地域の豪雨頻度や長大な路線の多さにも依存するが,それらが富山県と同等以下の対象地であれば,林道台帳等の低解像度な被災箇所数データを用いたモデル推定が可能であると考えられる。
Bibliography:950258
ZZ20018854
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.105.298