フルオレスカミン誘導体化HPLC法による魚および水産加工品中のヒスタミン分析の性能評価
わが国では,ヒスタミンを原因とする食中毒事例が毎年報告されているが,食品に含まれるヒスタミンの規格基準および公定分析法は示されていない.そこで,食品中のヒスタミンの規格試験法を開発することを目的として,既報のタンデム固相抽出を用いたヒスタミン分析法を一部改良するとともに,改良した分析法の性能を評価した.本法の妥当性を確認するために,25,50 μg/gの濃度になるようにヒスタミンを添加したマグロ試料,および50,100 μg/gの濃度となるようにヒスタミンを添加した魚醤およびいわし丸干しなどの水産加工品試料を作製し,食品中の金属に関する分析法の妥当性評価ガイドラインに従った実験計画により分析を...
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Published in | Shokuhin eiseigaku zasshi Vol. 53; no. 2; pp. 121 - 127 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本食品衛生学会
25.04.2012
日本食品衛生学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0015-6426 1882-1006 |
DOI | 10.3358/shokueishi.53.121 |
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Summary: | わが国では,ヒスタミンを原因とする食中毒事例が毎年報告されているが,食品に含まれるヒスタミンの規格基準および公定分析法は示されていない.そこで,食品中のヒスタミンの規格試験法を開発することを目的として,既報のタンデム固相抽出を用いたヒスタミン分析法を一部改良するとともに,改良した分析法の性能を評価した.本法の妥当性を確認するために,25,50 μg/gの濃度になるようにヒスタミンを添加したマグロ試料,および50,100 μg/gの濃度となるようにヒスタミンを添加した魚醤およびいわし丸干しなどの水産加工品試料を作製し,食品中の金属に関する分析法の妥当性評価ガイドラインに従った実験計画により分析を行った.その結果,すべての検討試料および濃度において,真度は88.8~99.6%,併行精度は1.3~2.1%,室内精度は2.1~4.7%と良好な結果が得られた.さらに,本法の適用可能な食品の範囲を検証するために,一般にヒスタミン汚染が懸念される7種の切り身および水産加工品について,上記と同様の添加濃度において添加回収試験を実施したところ,すべての検討試料において,83.4~102.0%の回収率が得られた.以上の結果から,本法はヒスタミンの規格試験法として十分な性能を有しており,切り身や干物,缶詰等の多様な形態の試料についても適用することが可能な方法であると考えられる.また,本法を用いて市場流通している切り身および加工品(32検体)のヒスタミン含有濃度の実態調査を実施したところ,一部の加工品から高濃度のヒスタミンが検出された. |
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Bibliography: | 832253 ZZ00009680 |
ISSN: | 0015-6426 1882-1006 |
DOI: | 10.3358/shokueishi.53.121 |