除草剤フェントラザミドの開発

日本バイエルアグロケム(株)とバイエル社が創製, 開発したカルバモイルテトラゾリノン系の新規除草剤フェントラザミド(1a)(Fig. 1)は, 水田一年生雑草のノビエおよび種々の広葉雑草に有効である. 本剤はノビエに対する卓効と長い残効性からノビエ発生前より3葉期まで, また移植水稲に対する極めて高い安全性から田植直後より使用でき, 水稲用除草剤として広い適用幅を有する. フェントラザミドの開発は, 当初からその広い適用幅を活かした除草労力の省力化, 簡便な散布方法の開発, 散布コストの削減, 環境への配慮など近年の水稲作農業事情からの要望を満たす方向で検討が進められた. 日本では2000年に...

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Published inJournal of Pesticide Science Vol. 27; no. 2; pp. 199 - 209
Main Authors 柳, 顯彦, 渡邊, 幸喜, 奈良部, 晋一, 伊藤, 整志, 五島, 敏男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農薬学会 2002
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Summary:日本バイエルアグロケム(株)とバイエル社が創製, 開発したカルバモイルテトラゾリノン系の新規除草剤フェントラザミド(1a)(Fig. 1)は, 水田一年生雑草のノビエおよび種々の広葉雑草に有効である. 本剤はノビエに対する卓効と長い残効性からノビエ発生前より3葉期まで, また移植水稲に対する極めて高い安全性から田植直後より使用でき, 水稲用除草剤として広い適用幅を有する. フェントラザミドの開発は, 当初からその広い適用幅を活かした除草労力の省力化, 簡便な散布方法の開発, 散布コストの削減, 環境への配慮など近年の水稲作農業事情からの要望を満たす方向で検討が進められた. 日本では2000年にベンスルフロンメチルとの混合剤(イノーバ(R))が散布時の省力化を目指した田植同時処理も可能な剤として農薬登録された. 現在, スルホニルウレア系除草剤との混合剤(ダブルスター(R), ドニチ(R))やトリオン系除草剤との混合剤(スマート(R))が, 粒剤のほか簡便な処理も可能なジャンボ剤や顆粒水和剤, フロアブル剤などに剤型化され, 販売されている. 東南アジア諸国ではプロパニルとの混合剤(レクスプロ(R))が湛水直播水稲用除草剤として使用されている. 本報では, フェントラザミドの研究の経緯, 合成, 構造活性相関, 除草特性, 安全性, 代謝分解および残留について, その知見を報告する.
Bibliography:650948
ZZ00015061
ISSN:1348-589X
0385-1559
1349-0923
DOI:10.1584/jpestics.27.199