パン用コムギ品種「せときらら」における収量と開花期追肥量に基づく子実タンパク質含有率の推定

パン用コムギ品種「せときらら」において子実タンパク質含有率,収量および開花期追肥量の三者の関係を明らかにすることを目的として,収量と開花期追肥量を説明変数とする子実タンパク推定式を作成するとともに,その精度を検証した.推定式の係数は山口県農林総合技術センター(山口県山口市)で3年間行った「せときらら」の施肥試験のデータを用いた重回帰分析によって決定した.収量の係数は–4.056×10–3,開花期追肥窒素量の係数は0.517だった.交互作用の効果は有意でなかったため除外した.推定式における収量と開花期追肥窒素量の係数から,「せときらら」の子実タンパク質含有率は収量が100 g m–2 増えるごと...

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Published inJapanese journal of crop science Vol. 90; no. 1; pp. 72 - 77
Main Authors 村田, 資治, 金子, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作物学会 01.01.2021
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ISSN0011-1848
1349-0990
DOI10.1626/jcs.90.72

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Summary:パン用コムギ品種「せときらら」において子実タンパク質含有率,収量および開花期追肥量の三者の関係を明らかにすることを目的として,収量と開花期追肥量を説明変数とする子実タンパク推定式を作成するとともに,その精度を検証した.推定式の係数は山口県農林総合技術センター(山口県山口市)で3年間行った「せときらら」の施肥試験のデータを用いた重回帰分析によって決定した.収量の係数は–4.056×10–3,開花期追肥窒素量の係数は0.517だった.交互作用の効果は有意でなかったため除外した.推定式における収量と開花期追肥窒素量の係数から,「せときらら」の子実タンパク質含有率は収量が100 g m–2 増えるごとに0.406ポイント低下し,開花期追肥窒素量を1 g m–2 増やすごとに0.517ポイント増加することが明らかとなった.作成した推定式を用いてセンターで実施した奨励品種決定調査(奨決データ)と山口市南部の農家圃場(現地データ)における「せときらら」の子実タンパク質含有率を推定した.平均平方根二乗誤差は子実タンパク質含有率として奨決データ1.4%,現地データ2.2%であり,奨決データと比べて現地データの方が推定精度が低かった.現地で推定精度が低下した要因のひとつとして,データを取得した圃場における開花期追肥の時期が早かったことが考えられた.以上のことから,栽培管理の影響を受ける可能性はあるものの,本研究で作成した推定式によって収量と開花期追肥窒素量から「せときらら」における子実タンパク質含有率を推定できると考えられた.
Bibliography:937064
ZZ00014890
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.90.72