農村の婦人貧血者における血液性状の季節的変動と栄養学的状況

農村婦人の貧血多発要因の研究を目的として, 農繁期直後の1973年7月の貧血検査でヘモグロビンが11g/dl未満を示した25~60歳層の農村婦人をスクリーニングし, 42名を対象に, その後続けて農閑期の1973年11月と1年後の1974年7月の2回, ヘモグロビン, 血清蛋白, 蛋白分画, 血清鉄と栄養摂取量を追跡調査した。 1. スクリーニング時の対象者42名のヘモグロビン平均値は9.1g/dlであったが農閑期の11月は12.0g/dlに上昇し, 次の7月には10.7g/dlに再び低下し, その差はそれぞれ有意である季節変動を示した。 2. 11月と7月の間の血清蛋白, 分画の変動は, 全...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inEiyōgaku zasshi Vol. 33; no. 4; pp. 145 - 152
Main Authors 渡辺, 孝男, 石黒, 弘三, 原, 京子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 01.07.1975
Online AccessGet full text
ISSN0021-5147
1883-7921
DOI10.5264/eiyogakuzashi.33.145

Cover

More Information
Summary:農村婦人の貧血多発要因の研究を目的として, 農繁期直後の1973年7月の貧血検査でヘモグロビンが11g/dl未満を示した25~60歳層の農村婦人をスクリーニングし, 42名を対象に, その後続けて農閑期の1973年11月と1年後の1974年7月の2回, ヘモグロビン, 血清蛋白, 蛋白分画, 血清鉄と栄養摂取量を追跡調査した。 1. スクリーニング時の対象者42名のヘモグロビン平均値は9.1g/dlであったが農閑期の11月は12.0g/dlに上昇し, 次の7月には10.7g/dlに再び低下し, その差はそれぞれ有意である季節変動を示した。 2. 11月と7月の間の血清蛋白, 分画の変動は, 全体では7月に血清蛋白, β-アルブミンの低下, グロブリンの上昇が有意である。 年齢層別では40歳層が25~39歳層, 50~60歳層に比較してアルブミンの低下が大きい。 農作業従事別では通常従事群が非通常従事群に比して7月のアルブミンの低下, β-グロブリンの増大が大きい。 3. 7月と11月における同一人の栄養素摂取量の相関係数は熱量, 蛋白質, 動物性蛋白質, 脂肪, カルシウム, 鉄, 動物性鉄で正の有意相関を示した。 4. 栄養素摂取量では熱量, 炭水化物が全体に少ないが, 他の栄養素は他の研究者らとほぼ等しい値を示した。 7月と11月の摂取量に有意な季節的変動が認められない。40歳代の栄養摂取量が他の年齢層に比して相対的に少ない傾向にある。 5. 血液性状と修正された栄養素摂取量の相関は, ヘモグロビンと熱量, カルシウム, ビタミンAおよび血清鉄とカルシウムの間で有意な正相関が認められた。
Bibliography:121235
ZZ00014766
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.33.145