大腸菌O157:H7のバイオフィルム形成における糖類の影響

大腸菌O157:H7をD-グルコース,D-ガラクトース,D-マンノース,D-キシロース,L-アラビノース,L-ラムノース,L-フコースをそれぞれ単一の炭素源として0.04%含む培地で7日間培養し,菌体生長量および形成されたバイオフィルムの量を測定した.その結果,すべての培地において,培養1日目で菌体量が最大に達した(Fig. 1 (A)).同様に,バイオフィルムの量も培養1日目に最大値を示し,その後,減少した(Fig. 1 (B)).糖類の濃度がバイオフィルム形成に与える影響を調べるため,上記の糖類を単一の炭素源として0.4,0.04,0.004%含む培地をそれぞれ調製し,1日間培養した.その...

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Published inJournal of Applied Glycoscience Vol. 56; no. 3; pp. 223 - 227
Main Authors 金子, 哲, 吉田, 誠, 川本, 伸一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本応用糖質科学会 2009
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ISSN1344-7882
1880-7291
DOI10.5458/jag.56.223

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Summary:大腸菌O157:H7をD-グルコース,D-ガラクトース,D-マンノース,D-キシロース,L-アラビノース,L-ラムノース,L-フコースをそれぞれ単一の炭素源として0.04%含む培地で7日間培養し,菌体生長量および形成されたバイオフィルムの量を測定した.その結果,すべての培地において,培養1日目で菌体量が最大に達した(Fig. 1 (A)).同様に,バイオフィルムの量も培養1日目に最大値を示し,その後,減少した(Fig. 1 (B)).糖類の濃度がバイオフィルム形成に与える影響を調べるため,上記の糖類を単一の炭素源として0.4,0.04,0.004%含む培地をそれぞれ調製し,1日間培養した.その結果,0.4%のD-マンノースおよびL-ラムノースを含む培地において,本菌のバイオフィルム形成能の低下が観察された(Table 1).さらに,D-グルコース,D-ガラクトース,D-キシロース,L-アラビノース,L-フコースを含む培地にD-マンノースおよびL-ラムノースをそれぞれ添加し,大腸菌O157:H7を培養した結果,D-マンノースを添加した培地のみバイオフィルム形成の低下が観察された(Table 2).D-マンノースの添加培地と無添加培地において,菌体生長量に変化は観察されなかったことから,D-マンノースは大腸菌O157:H7のバイオフィルム形成を直接的に阻害すると考えられた.
Bibliography:ZZ20010553
780975
ISSN:1344-7882
1880-7291
DOI:10.5458/jag.56.223