鼓脹と嚥下障害を示した黒毛和種子牛に認められた右大動脈弓遺残の1例

生後17日齢より鼓脹を頻発した黒毛和種の子牛で,内視鏡,経食道超音波検査および食道造影法により血管輪による食道狭窄が診断できた. ヘルニアネットを装着し強制曖気を促し臨床経過を観察したが,嚥下障害を頻発したため70日齢で安楽殺処分した. 剖検で第一胃の著しい膨満が認められた. 左心室より起始した上行大動脈は気管と食道の右側で右大動脈弓に移行していた. この右大動脈弓は腕頭動脈と右鎖骨下動脈を分岐したのち,食道と気管の背位を左走し,左鎖骨下動脈を分岐して左下行大動脈に移行していた. 左鎖骨下動脈起始部には左大動脈弓と肺動脈を結合する左動脈管索が存在していた. 右大動脈弓,左動脈管索および肺動脈は...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 62; no. 6; pp. 460 - 463
Main Authors 竹花, 一成, 浅野, 雅司, 鈴木, 貴博, 草場, 信之, 三木, 渉, 石川, 高明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 01.06.2009
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ISSN0446-6454
2186-0211
DOI10.12935/jvma.62.460

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Summary:生後17日齢より鼓脹を頻発した黒毛和種の子牛で,内視鏡,経食道超音波検査および食道造影法により血管輪による食道狭窄が診断できた. ヘルニアネットを装着し強制曖気を促し臨床経過を観察したが,嚥下障害を頻発したため70日齢で安楽殺処分した. 剖検で第一胃の著しい膨満が認められた. 左心室より起始した上行大動脈は気管と食道の右側で右大動脈弓に移行していた. この右大動脈弓は腕頭動脈と右鎖骨下動脈を分岐したのち,食道と気管の背位を左走し,左鎖骨下動脈を分岐して左下行大動脈に移行していた. 左鎖骨下動脈起始部には左大動脈弓と肺動脈を結合する左動脈管索が存在していた. 右大動脈弓,左動脈管索および肺動脈は心底とともに食道と気管を完全に取り囲む血管輪を形成し,血管輪によって食道は圧迫され,狭窄していた.
Bibliography:ZZ00014801
773251
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.62.460