花卉栽培者の農薬曝露調査 大量曝露者との対話
花卉は, 外見が商品価値を大きく左右する作物であり, 食用でないこともあって, 栽培のため農薬使用が多い作物と言われている。花卉栽培部会の健康診査に合わせて109~112名の受診者に尿の提供を受け, 有機リン殺虫剤の代謝物である4種のジアルキルリン酸を測定した。 2009, 2010, 2011年8月下旬の3回の調査の中で, 男性2人からこの集団の中央値の1,000倍程度のジメチルリン酸を各1回検出した。2人はそれぞれに, 高濃度を検出した同日の血清コリンエステラーゼ活性値が, 各人の前後4年の平均の, それぞれ64%, 72%に低下していた。この低下は, 米国カリフォルニア州の農作業者のコリ...
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Published in | Nihon Nōson Igakkai zasshi Vol. 64; no. 4; pp. 671 - 679 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
30.11.2015
日本農村医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0468-2513 1349-7421 |
DOI | 10.2185/jjrm.64.671 |
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Summary: | 花卉は, 外見が商品価値を大きく左右する作物であり, 食用でないこともあって, 栽培のため農薬使用が多い作物と言われている。花卉栽培部会の健康診査に合わせて109~112名の受診者に尿の提供を受け, 有機リン殺虫剤の代謝物である4種のジアルキルリン酸を測定した。 2009, 2010, 2011年8月下旬の3回の調査の中で, 男性2人からこの集団の中央値の1,000倍程度のジメチルリン酸を各1回検出した。2人はそれぞれに, 高濃度を検出した同日の血清コリンエステラーゼ活性値が, 各人の前後4年の平均の, それぞれ64%, 72%に低下していた。この低下は, 米国カリフォルニア州の農作業者のコリンエステラーゼ活性値モニタリングによる労働衛生管理の考え方では, 農薬散布作業の見直しを行なうべきレベルであった。 2人について対話を行なったところ, 1人はピレスロイド剤による咳きこみを相談された。彼が呼吸器疾患があることも考慮し, 我々が提案したいくつかの対策の中から, 彼はピロスロイド系の使用を避けることを選択された。他の1人は, 初回の対話は受入れられなかったが, その後, 粉剤用の農薬マスクを着用するようになっていただいた。 尿中の有機リン殺虫剤の代謝物の測定結果を背景にした, 農薬曝露を低減できる作業改善を求める対話が, 有効である可能性が示唆された。対話は人材を必要とし, 困難な面もあるが, 今後も継続してゆきたい。 |
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Bibliography: | ZZ00011651 900967 |
ISSN: | 0468-2513 1349-7421 |
DOI: | 10.2185/jjrm.64.671 |