ヒュウガナツ無核性品種'室戸小夏'と'西内小夏'における花粉管伸長, 受精および種子形成

普通系ヒュウガナツの枝変わり無核性品種である'室戸小夏'と'西内小夏'について, 種子形成を阻害する過程を明らかにしようとした.1. 子房当たりの胚珠数と子室数は'室戸小夏', '西内小夏'および普通系ヒュウガナツで差が認められなかった.2. '水晶文旦'花粉を受粉すると, '室戸小夏'花柱では, 花粉管の伸長が抑制されて受精はほとんどみられず, 種子形成は認められなかった.'西内小夏'花柱では, 普通系ヒュウガナツに比べて花粉管の伸長速度はやや優れていた...

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Published inEngei Gakkai zasshi Vol. 70; no. 3; pp. 320 - 327
Main Authors 北島, 宣, 岡田, 嘉樹, 長谷川, 耕二郎
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 園芸学会 2001
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Summary:普通系ヒュウガナツの枝変わり無核性品種である'室戸小夏'と'西内小夏'について, 種子形成を阻害する過程を明らかにしようとした.1. 子房当たりの胚珠数と子室数は'室戸小夏', '西内小夏'および普通系ヒュウガナツで差が認められなかった.2. '水晶文旦'花粉を受粉すると, '室戸小夏'花柱では, 花粉管の伸長が抑制されて受精はほとんどみられず, 種子形成は認められなかった.'西内小夏'花柱では, 普通系ヒュウガナツに比べて花粉管の伸長速度はやや優れていたが, 受粉14日後の子房上部の花粉管数や受精率および種子数は同様であった.3. '西内小夏'と普通系ヒュウガナツの自家受粉および正逆交配を行うと, '西内小夏'の自家受粉では子房上部まで花粉管が伸長し, わずかに受精が認められた.しかし, 他の交配組み合わせではいずれも花粉管の伸長が花柱上部で停止しており, 受精は認められなかった.これらのことから, '室戸小夏'では他家受粉においても花粉管伸長が抑制されるため, 種子形成が阻害されることが明らかとなった.'西内小夏'では弱い自家和合性を示すことが明らかとなったが, 自家和合性の程度が低いために, 自家受粉で結実した果実の種子数は少ないものと考えられた.'室戸小夏'と'西内小夏'は, いずれも枝変わりによって花柱内の花粉管伸長に関する形質が変異していることが明らかとなった.
Bibliography:630923
ZZ00015006
ISSN:0013-7626
1880-358X
DOI:10.2503/jjshs.70.320