千葉県におけるニセナシサビダニEriophyes chibaensis KADONOの季節的発生消長

千葉県におけるニセナシサビダニの季節的発生消長を1979年と1980年に調査した。 1) 越冬場所からの離脱は3月下旬から4月下旬まで確認され,そのピークは4月上旬であった。 2) 徒長枝下位葉および果そう葉における本種の寄生個体数は年間を通して極めて少なかった。徒長枝上位葉における寄生個体数は5月上旬までは0に近い状態であったが,その後急激に増加し,6月下旬から7月上旬にピークに達した。7月中旬になると徒長枝上位葉上の個体数は急激に減少し,7月下旬にはほとんど寄生がみられなくなった。 3) 徒長枝葉上における本種の寄生は,徒長枝が伸長し始める5月上旬には各葉位葉に散見されたが,下位葉が硬化し...

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Published inNihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi Vol. 26; no. 4; pp. 213 - 217
Main Authors 上遠野, 冨士夫, 藤代, 肇, 椎名, 賢子, 藤家, 梓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本応用動物昆虫学会 1982
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Summary:千葉県におけるニセナシサビダニの季節的発生消長を1979年と1980年に調査した。 1) 越冬場所からの離脱は3月下旬から4月下旬まで確認され,そのピークは4月上旬であった。 2) 徒長枝下位葉および果そう葉における本種の寄生個体数は年間を通して極めて少なかった。徒長枝上位葉における寄生個体数は5月上旬までは0に近い状態であったが,その後急激に増加し,6月下旬から7月上旬にピークに達した。7月中旬になると徒長枝上位葉上の個体数は急激に減少し,7月下旬にはほとんど寄生がみられなくなった。 3) 徒長枝葉上における本種の寄生は,徒長枝が伸長し始める5月上旬には各葉位葉に散見されたが,下位葉が硬化し始める5月下旬以後は上位葉に集中した。しかし,下位葉でも新しく出現した二次伸長葉には多くの個体が寄生したとこから,本種の寄生は葉齢に強く影響されるようである。 4) 本種は風によって成虫・若虫ともに分散した。分散個体数は葉上における個体数に比例して変化した。 5) 葉上において本種の個体数が減少し始める7月中旬には,すでに多数のダニが越冬場所と考えられる芽の鱗片の基部や剥離した表皮のすきまなどにみられた。越冬虫はすべて第2雌で,徒長枝・短果枝・亜主枝において発見されたが,徒長枝下部に最も多かった。
Bibliography:261894
ZZ00014825
ISSN:0021-4914
1347-6068
DOI:10.1303/jjaez.26.213