ツマグロヨコバイの吸汁行動に及ぼすカルタップの影響

パラフィルム法によって,カルタップ水溶液を直接ツマグロヨコバイに吸わせると,2.8ppmで50%, 5ppmで80%の死亡率が得られた。また,イネの根を40ppmカルタップ水溶液に漬けると,導管液のカルタップ濃度は10時間後から平均約5ppmとなり,そこにツマグロヨコバイを放飼すると4時間で95%が仰転した。 浸根法40ppmおよびパラフィルム法5ppmのカルタップ濃度において,ツマグロヨコバイの吸汁行動を電気的測定装置を使って測定すると,外見上の中毒症状が現れる前から,活動性の低下により,吸汁が抑制されることが明らかになった。さらに低濃度のカルタップ(パラフィルム法1ppm)においても,吸汁...

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Published inNihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi Vol. 26; no. 1; pp. 41 - 47
Main Authors 河野, 義明, 坂井, 道彦, 佐藤, 安夫, 鈴木, 忠夫, 河部, 暹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本応用動物昆虫学会 1982
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ISSN0021-4914
1347-6068
DOI10.1303/jjaez.26.41

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Summary:パラフィルム法によって,カルタップ水溶液を直接ツマグロヨコバイに吸わせると,2.8ppmで50%, 5ppmで80%の死亡率が得られた。また,イネの根を40ppmカルタップ水溶液に漬けると,導管液のカルタップ濃度は10時間後から平均約5ppmとなり,そこにツマグロヨコバイを放飼すると4時間で95%が仰転した。 浸根法40ppmおよびパラフィルム法5ppmのカルタップ濃度において,ツマグロヨコバイの吸汁行動を電気的測定装置を使って測定すると,外見上の中毒症状が現れる前から,活動性の低下により,吸汁が抑制されることが明らかになった。さらに低濃度のカルタップ(パラフィルム法1ppm)においても,吸汁はしばしば阻害された。 これらの結果は,これまでも明らかにされている致死量以下のカルタップによるhoney dew量や口針挿入頻度の減少とよく一致するとともに,カルタップのもつ,ツマグロヨコバイによるイネ萎縮病媒介に対する抑制作用をも説明すると考えられる。
Bibliography:243310
ZZ00014825
ISSN:0021-4914
1347-6068
DOI:10.1303/jjaez.26.41