高温乾燥によるスギ材心材抽出成分の量的変動

実用条件下で高温乾燥したスギ心持ち正角材(370cm×12cm×12cm)の高温乾燥(平均105℃,最高120℃)前後における耐久性成分の量的な変動について,黒心材と赤心材に分けて検討した。 高温乾燥した心材中のテルペノイド性成分については,いずれの化合物にも天然乾燥材と比較して量的な減少が認められた。乾燥後の残存率は赤心材よりも黒心材のほうが大きかった。また,epicubebol,cubebolの減少は特異的であり,ほぼ100%の消失が確認された。一方,ノルリグナン類の含有量は黒心材と赤心材とで挙動が大きく異なった。黒心材では天然乾燥材よりも高温乾燥材のほうが含有量が大きく,高温乾燥条件下に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in木材保存 Vol. 32; no. 5; pp. 196 - 202
Main Authors 澁谷, 栄, 小幡谷, 英一, 花田, 健介, 土居, 修一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本木材保存協会 2006
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:実用条件下で高温乾燥したスギ心持ち正角材(370cm×12cm×12cm)の高温乾燥(平均105℃,最高120℃)前後における耐久性成分の量的な変動について,黒心材と赤心材に分けて検討した。 高温乾燥した心材中のテルペノイド性成分については,いずれの化合物にも天然乾燥材と比較して量的な減少が認められた。乾燥後の残存率は赤心材よりも黒心材のほうが大きかった。また,epicubebol,cubebolの減少は特異的であり,ほぼ100%の消失が確認された。一方,ノルリグナン類の含有量は黒心材と赤心材とで挙動が大きく異なった。黒心材では天然乾燥材よりも高温乾燥材のほうが含有量が大きく,高温乾燥条件下において酸化が進行していないと推定された。赤心材の場合には材中央部よりも木口部の含有量が高くなった。ノルリグナン類はテルペノイド類に比べ水親和性が大きく,乾燥にともなう水の移動によって木口面に集積されることが考えられた。
ISSN:0287-9255
1884-0116
DOI:10.5990/jwpa.32.196