わが国のイカ原料フロー、ゼロエミッション資源化技術および窒素収支

わが国,ならびにイカ化工業の盛んな地域として函館の場合について,イカ原料の生産・輸入をインブット,製品輸出をアウトブットとする物質フローモデルを示し,窒素収支ならびにゼロエミヅション化技術について検討を加えた。函館の場合インプットは2,755トンでアウトプットは2,311トンとなり409トンの窒素が系内に残留するが,人間が食べる分347トンを除くと残滓分は62トン(インプットの2.2%)の窒素しか系内に廃棄されていない。この値は函館のイカが物質フローや窒素収支の面から見てうまく循環している地域であることを示している。しかし,問題は残滓が有料で処理業者に引き取られていて,本来の未利用資源の資源化...

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Published in環境科学会誌 Vol. 13; no. 5; pp. 612 - 617
Main Authors 三浦, 汀介, 渡辺, 一仁, 塩出, 大輔, 藤森, 康澄, 清水, 晋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 環境科学会 2000
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Summary:わが国,ならびにイカ化工業の盛んな地域として函館の場合について,イカ原料の生産・輸入をインブット,製品輸出をアウトブットとする物質フローモデルを示し,窒素収支ならびにゼロエミヅション化技術について検討を加えた。函館の場合インプットは2,755トンでアウトプットは2,311トンとなり409トンの窒素が系内に残留するが,人間が食べる分347トンを除くと残滓分は62トン(インプットの2.2%)の窒素しか系内に廃棄されていない。この値は函館のイカが物質フローや窒素収支の面から見てうまく循環している地域であることを示している。しかし,問題は残滓が有料で処理業者に引き取られていて,本来の未利用資源の資源化ではなく逆ザヤになっている点が指摘される。一方,わが国全体では,イカに関連する産業は他の食料産業と同様に大量に原料を輸入し,そのほとんどを国内で消費している。1997年では輸入全体73万トンに対して輸出は2.1万トンしかない。その内訳は原料で1.2万トン,製品で0.29万トン,再資源化製品で0.606万トンである。窒素ベースでインプットが1.82万トンでアウトプットが0.109万トンで1.71万トンが国内に滞留する。結果的に94%の窒素が国内に残留することになる。この状態を改善するには輸出可能な商品や国外で消費可能な商品の開発を推進しなければならない。当然,ゼロエミッション化に必要な要素技術は,この点を十分に配慮した技術でなければならない。
ISSN:0915-0048
1884-5029
DOI:10.11353/sesj1988.13.612