雄性不稔スギ実生苗生産のための簡易な検定手法の開発と精度検証

雄性不稔スギ(無花粉スギ)は単一の劣性遺伝子(雄性不稔遺伝子)に支配され,メンデルの法則に従って遺伝する。そのため,劣性ホモの雄性不稔スギに雄性不稔遺伝子をヘテロ接合型で持つスギを交配することにより,種子による苗木生産が可能である。しかし半分は可稔となるため,雄性不稔苗木の生産には,雄性不稔個体を選別する検定が必要になる。これまでは顕微鏡を用いて雄性不稔の判定を行っていたが,神奈川県では新たに開発した苗畑で雄花を潰す簡易な検定法により,2010年から2019年の10年間で23,485本の雄性不稔実生苗を生産した。この検定結果を検証するため,雄性不稔と判定した試料を実体顕微鏡で確認したところ,誤...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Shinrin Gakkaishi Vol. 102; no. 5; pp. 311 - 316
Main Author 齋藤, 央嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本森林学会 01.10.2020
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:雄性不稔スギ(無花粉スギ)は単一の劣性遺伝子(雄性不稔遺伝子)に支配され,メンデルの法則に従って遺伝する。そのため,劣性ホモの雄性不稔スギに雄性不稔遺伝子をヘテロ接合型で持つスギを交配することにより,種子による苗木生産が可能である。しかし半分は可稔となるため,雄性不稔苗木の生産には,雄性不稔個体を選別する検定が必要になる。これまでは顕微鏡を用いて雄性不稔の判定を行っていたが,神奈川県では新たに開発した苗畑で雄花を潰す簡易な検定法により,2010年から2019年の10年間で23,485本の雄性不稔実生苗を生産した。この検定結果を検証するため,雄性不稔と判定した試料を実体顕微鏡で確認したところ,誤判定率は1.1%であった。また,雄性不稔と判定した苗木を1年後と5年後に再確認したところ,検定精度は98.1%,97.6%となり有効な検定手法であることが確認された。また検定の作業性の改善を図るため,生分解性コンテナ苗を用いた生産体制を検討したところ,ビニールハウス内で座ったままの作業となり,作業性が向上し誤判定も有意に少なかった。
Bibliography:936298
ZZ20018854
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.102.311