ニホンノウサギによる食害とその防除がコウヨウザン1年生苗の生残および成長に与える影響

コウヨウザン1年生苗の生残および成長にニホンノウサギの食害とその防除が与える影響を明らかにすることを目的として,コウヨウザンの1年生苗に三つの処理(忌避剤散布,物理保護,無処理)を施し,食害や苗高,萌芽の経過観察を行った。その結果,無処理の苗木では食害率が1年間で78%に達し,その苗高は植栽時よりも2.1 cm(14%)しか高くならなかった。物理保護の苗木の食害率は無処理の苗木より低かったが,忌避剤散布の苗木と無処理の苗木の間に食害率の差異はみられなかった。しかし,忌避剤散布後に新たに伸長した部分が食害されており,忌避剤の効果は認められた。食害を受けた苗木と未食害の苗木の枯死率は,それぞれ14...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Shinrin Gakkaishi Vol. 102; no. 5; pp. 317 - 323
Main Authors 鵜川, 信, 藤澤, 義武, 大塚, 次郎, 近藤, 禎二, 生方, 正俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本森林学会 01.10.2020
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:コウヨウザン1年生苗の生残および成長にニホンノウサギの食害とその防除が与える影響を明らかにすることを目的として,コウヨウザンの1年生苗に三つの処理(忌避剤散布,物理保護,無処理)を施し,食害や苗高,萌芽の経過観察を行った。その結果,無処理の苗木では食害率が1年間で78%に達し,その苗高は植栽時よりも2.1 cm(14%)しか高くならなかった。物理保護の苗木の食害率は無処理の苗木より低かったが,忌避剤散布の苗木と無処理の苗木の間に食害率の差異はみられなかった。しかし,忌避剤散布後に新たに伸長した部分が食害されており,忌避剤の効果は認められた。食害を受けた苗木と未食害の苗木の枯死率は,それぞれ14.0%と13.5%であり,同程度であった。苗木の伸長成長はいずれの処理でも確認され,萌芽によって成長が確保される可能性が示された。一方で,より高い成長量を確保するためには,忌避剤散布や物理保護による食害防除が必要であると考えられた。
Bibliography:ZZ20018854
936299
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.102.317