担子菌菌叢の定量的評価を目指したDNA 増幅条件

腐朽木材中の担子菌を同定するために, Phi29 DNA ポリメラーゼによる非特異的DNA 増幅とポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるリボソームDNA(rDNA)の内部転写スペーサー(ITS)領域の特異的増幅を組み合わせた手法は有用である。本研究では, 担子菌菌叢の定量的評価を行うために, DNA 増幅条件について検討した。白色腐朽菌Phanerochaete chrysosporium および褐色腐朽菌Postia placenta から抽出したDNA を等量混合し, 様々な条件下でDNA 増幅に供した。Phi29 DNA ポリメラーゼによる非特異的DNA 増幅では二種の菌の混合比は, 元の...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in木材保存 Vol. 36; no. 5; pp. 200 - 207
Main Authors 和田, 朋子, 五十嵐, 圭日子, 鮫島, 正浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本木材保存協会 2010
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:腐朽木材中の担子菌を同定するために, Phi29 DNA ポリメラーゼによる非特異的DNA 増幅とポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるリボソームDNA(rDNA)の内部転写スペーサー(ITS)領域の特異的増幅を組み合わせた手法は有用である。本研究では, 担子菌菌叢の定量的評価を行うために, DNA 増幅条件について検討した。白色腐朽菌Phanerochaete chrysosporium および褐色腐朽菌Postia placenta から抽出したDNA を等量混合し, 様々な条件下でDNA 増幅に供した。Phi29 DNA ポリメラーゼによる非特異的DNA 増幅では二種の菌の混合比は, 元の比を反映していた。その一方で, PCR サイクル数の増加はDNA の混合比にバイアスを生じた。以上の結果に基づき, 担子菌菌叢の定量的評価のために指数的増幅範囲内にPCR サイクル数を最小限に抑えることを提案した。
ISSN:0287-9255
1884-0116
DOI:10.5990/jwpa.36.200