環境制御栽培の長期多段採りトマトにおける生育や収量に及ぼす根量の影響
大規模施設を利用したトマト(Solanum lycopersicum L.)周年栽培の安定多収生産においては,根の関与も大きいと考えられるが,そのような環境制御下の長期多段採りトマトにおける根の影響について,摘果などの地上部の管理と搦めての知見はみられず調査を行った.培地としてロックウールスラブ(RW)区,RW+有機区,ゼオライト+ココピート区(ZC)区,有機バッグ区を設け比較した.また,それぞれの培地区で強摘果区と弱摘果区を設けた.灌水管理は日射比例制御方式で行った.トマトの長期多段採り栽培において,根量と収量に相関は認められなかった.培地量や着果負担の違いによる根量の差は認められたが,出液...
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Published in | 植物環境工学 Vol. 28; no. 2; pp. 104 - 112 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生物環境工学会
01.06.2016
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Summary: | 大規模施設を利用したトマト(Solanum lycopersicum L.)周年栽培の安定多収生産においては,根の関与も大きいと考えられるが,そのような環境制御下の長期多段採りトマトにおける根の影響について,摘果などの地上部の管理と搦めての知見はみられず調査を行った.培地としてロックウールスラブ(RW)区,RW+有機区,ゼオライト+ココピート区(ZC)区,有機バッグ区を設け比較した.また,それぞれの培地区で強摘果区と弱摘果区を設けた.灌水管理は日射比例制御方式で行った.トマトの長期多段採り栽培において,根量と収量に相関は認められなかった.培地量や着果負担の違いによる根量の差は認められたが,出液速度には影響を及ぼさなかった.根へのDW分配率は総DWの1.4~1.7 %程度と小さかった.また,着果負担の増加に伴い根DWは減少した.栽植密度を2.5 plants m-2のままベッド中心間の距離を1.6 mから2.1 mへ増加させると,根量は変わらず収量を維持し,ベッド数を削減できた.これは,ベッド数減少により中層葉や下層葉への光の透過率が増加し,それらのSPAD値,窒素含有量が高くなったことから光合成能が長期間維持されたためと考えられた.制御環境下にある根においては,収量は根量によって規定されるものではなく,ある程度の根量が確保されていれば,それ以上の根は必ずしも必要ではないことが考えられた.ミディトマトで株当たり総果実DW600 g以上を得るためには,根DWが15 g以上確保されていれば良いと定量評価できた. |
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Bibliography: | ZZ20020518 902856 |
ISSN: | 1880-2028 1880-3563 |
DOI: | 10.2525/shita.28.104 |