多層断熱資材と水蓄熱装置を組み合わせた省エネルギー栽培技術の評価と燃料消費シミュレーション

施設園芸における燃料消費の大幅な削減を達成するため,多層断熱資材と水蓄熱装置を組み合わせた省エネルギー栽培技術について検討し,得られたデータに基づいた燃料消費量のシミュレーションモデルを構築した.技術導入により,栽培期間中の燃料消費量は60 %減少し大幅な省エネルギー化を達成した.一方で資材の影によってハウス内の日射量が減少し,内部で栽培したミニトマトの収量は減少した.このことから,特に多層断熱資材の収納・展張方法に関しては改善が必要である.個々の技術の性能として,多層断熱資材を含むパイプハウスの放熱係数は,対照ハウスと比較しておよそ3割減少し,水蓄熱装置からの発熱量は,燃料116 L分に相当...

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Published in植物環境工学 Vol. 33; no. 1; pp. 20 - 27
Main Authors 河崎, 靖, 松田, 周, 川嶋, 浩樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生物環境工学会 2021
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Summary:施設園芸における燃料消費の大幅な削減を達成するため,多層断熱資材と水蓄熱装置を組み合わせた省エネルギー栽培技術について検討し,得られたデータに基づいた燃料消費量のシミュレーションモデルを構築した.技術導入により,栽培期間中の燃料消費量は60 %減少し大幅な省エネルギー化を達成した.一方で資材の影によってハウス内の日射量が減少し,内部で栽培したミニトマトの収量は減少した.このことから,特に多層断熱資材の収納・展張方法に関しては改善が必要である.個々の技術の性能として,多層断熱資材を含むパイプハウスの放熱係数は,対照ハウスと比較しておよそ3割減少し,水蓄熱装置からの発熱量は,燃料116 L分に相当した.構築されたシミュレーションモデルによる燃料消費推定は,実測値と概ね一致したが春季の推定に関して課題が残った.また水蓄熱装置が実際に燃料消費削減に寄与したのは31.4 L分で,発熱量に基づく燃料相当量の3割程度であることがシミュレーションにより試算された.加えて燃料消費削減量のうち約8割が多層断熱資材由来であり,残り約2割が水蓄熱由来であると試算された.本シミュレーションモデルを用いることで,地域や暖房設定温度によらず燃料消費量の予測が可能である.
Bibliography:937152
ZZ20020518
ISSN:1880-2028
1880-3563
DOI:10.2525/shita.33.20