水道水質管理目標設定項目の候補とされている農薬のGC/MS 一斉分析法の開発

水道水質管理目標設定項目の候補とされている農薬135物質のうち60物質のGC/MS一斉分析法を検討した。農薬混合標準液を用いた分析結果では,いずれの農薬についても,検量線の直線性および繰り返し分析の再現性は概ね良好であった。また,一日許容摂取量(ADI)に基づいて目標値を推定可能な59物質全ての定量下限値は各目標値よりも低い濃度となり,そのうち56物質については目標値の1/100よりも低い濃度まで定量可能であった。さらに,精製水および水道水を用いて添加回収試験を行ったところ,LogPowあるいは水溶解度によって,固相抽出カラムによって濃縮できるかどうかを判断することが概ね可能であり,43物質に...

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Published in環境科学会誌 Vol. 25; no. 5; pp. 378 - 390
Main Authors 西村, 哲治, 清水, 久美子, 杉本, 直樹, 久保田, 領志, 小林, 憲弘, 田原, 麻衣子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 環境科学会 2012
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ISSN0915-0048
1884-5029
DOI10.11353/sesj.25.378

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Summary:水道水質管理目標設定項目の候補とされている農薬135物質のうち60物質のGC/MS一斉分析法を検討した。農薬混合標準液を用いた分析結果では,いずれの農薬についても,検量線の直線性および繰り返し分析の再現性は概ね良好であった。また,一日許容摂取量(ADI)に基づいて目標値を推定可能な59物質全ての定量下限値は各目標値よりも低い濃度となり,そのうち56物質については目標値の1/100よりも低い濃度まで定量可能であった。さらに,精製水および水道水を用いて添加回収試験を行ったところ,LogPowあるいは水溶解度によって,固相抽出カラムによって濃縮できるかどうかを判断することが概ね可能であり,43物質については,回収率の平均値が70~120%の範囲の良好な結果を得ることができた。なお,本研究において開発したGC/MS一斉分析法は,最終的には水道水質検査法の新しい標準検査法に発展させることを目的としているが,そのためには,複数機関による分析法バリデーションを行い,本法の分析精度を検証する必要がある。今後は,本法の妥当性評価を早急に実施したい。
ISSN:0915-0048
1884-5029
DOI:10.11353/sesj.25.378