ピネン類の個人曝露/室内外濃度とその初期リスク評価

近年,ムク木材などの天然材料を多用した住宅内において,スギやヒノキから放散されるテルペン類のα-ピネン,β-ピネンが高濃度で検出されることが報告されている。本研究では,市販のパッシブサンプラーを用いて,静岡県の30家庭を対象に,主要なテルペン類であるα-ピネンとβ-ピネンの個人曝露濃度と室内外濃度の調査を行った。その結果,個人曝露濃度は,濃度範囲が<0.2 ~260μg/m3,平均値が18μg/m3,および中央値が2.3μg/m3 であった。α-ピネンの個人曝露濃度と室内外濃度には強い正の相関関係があり,特に滞在時間が長い居間のα-ピネン濃度との相関係数(r=0.998)が大きな値となった。ま...

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Published in環境科学会誌 Vol. 28; no. 4; pp. 283 - 290
Main Authors 三宅, 祐一, 孫, 琿玢, 雨谷, 敬史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 環境科学会 2015
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Summary:近年,ムク木材などの天然材料を多用した住宅内において,スギやヒノキから放散されるテルペン類のα-ピネン,β-ピネンが高濃度で検出されることが報告されている。本研究では,市販のパッシブサンプラーを用いて,静岡県の30家庭を対象に,主要なテルペン類であるα-ピネンとβ-ピネンの個人曝露濃度と室内外濃度の調査を行った。その結果,個人曝露濃度は,濃度範囲が<0.2 ~260μg/m3,平均値が18μg/m3,および中央値が2.3μg/m3 であった。α-ピネンの個人曝露濃度と室内外濃度には強い正の相関関係があり,特に滞在時間が長い居間のα-ピネン濃度との相関係数(r=0.998)が大きな値となった。また,今回得られたα-ピネンの個人曝露濃度から曝露マージンを算出したところ,一般的な不確実係数積100(種差10 ×個人差10)より十分に大きな値となっており,数少ない既存の有害性情報を基にした場合,ヒト健康への懸念は低いことが示唆された。
ISSN:0915-0048
1884-5029
DOI:10.11353/sesj.28.283