富山県における水稲品種「コシヒカリ」の高温登熟回避を目的とした 晩植栽培に適した栽植密度

近年の温暖化条件下において,高温登熟回避を想定した作期移動が水稲「コシヒカリ」の生育,収量および品質に及ぼす影響を調査するとともに,作期ごとの適正な栽植密度について2ヶ年検討した.移植時期を4月下旬 (早植) から5月中旬 (晩植) に遅らせた結果,5月中旬区では4月下旬区に比べて移植~最高分げつ期までの日数が短縮することで最高分げつ数が減少し,穂数が少なくなることで減収した.また,晩植によって登熟気温が低下した2005年では5月中旬区で外観品質が向上した.各移植時期において栽植密度と収量,品質との関係を検討した結果,4月下旬区では栽植密度を高めることで穂数が増加するものの収量は増加せず,過繁...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese journal of crop science Vol. 80; no. 2; pp. 220 - 228
Main Authors 守田, 和弘, 高橋, 渉, 杉森, 史郎, 古畑, 昌巳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作物学会 2011
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:近年の温暖化条件下において,高温登熟回避を想定した作期移動が水稲「コシヒカリ」の生育,収量および品質に及ぼす影響を調査するとともに,作期ごとの適正な栽植密度について2ヶ年検討した.移植時期を4月下旬 (早植) から5月中旬 (晩植) に遅らせた結果,5月中旬区では4月下旬区に比べて移植~最高分げつ期までの日数が短縮することで最高分げつ数が減少し,穂数が少なくなることで減収した.また,晩植によって登熟気温が低下した2005年では5月中旬区で外観品質が向上した.各移植時期において栽植密度と収量,品質との関係を検討した結果,4月下旬区では栽植密度を高めることで穂数が増加するものの収量は増加せず,過繁茂による葉色の低下や品質の低下が認められた.一方,5月中旬区では,晩植による穂数不足を補うために栽植密度を高めることが有効であり,栽植密度を高めるほど穂数増加,収量増加につながるとともに,外観品質が向上することが明らかになった.これらのことから,高温登熟回避を想定した晩植栽培では,早植栽培に比べて栽植密度を高めることが生育,収量および品質の安定化に有効であると判断された.
Bibliography:811725
ZZ00014890
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.80.220