福島県北東部森林域に生息するジョロウグモの放射性セシウム濃度モニタリング

東京電力福島第一原子力発電所事故で汚染された福島県伊達郡川俣町の森林2 カ所において,大型で年一化,造網性のジョロウグモを対象に,放射性セシウム濃度を測定し,土壌の放射性セシウム存在量との関係,および事故後のジョロウグモ中の放射性セシウム濃度の推移を調べた。その結果,両調査地ともに,2013 年における土壌からジョロウグモへの土地面積当りで算出した移行係数(Tag)はおよそ 0.005 であり,ジョロウグモの汚染は,生息地土壌の汚染レベルに依存していた。また,137Cs 濃度は,2012 年(事故後1.5 年経過)に対し,2013 年(2.5 年経過)に採集した個体では,両調査地ともに約50~...

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Published inNihon Shinrin Gakkaishi Vol. 97; no. 1; pp. 70 - 74
Main Authors 綾部, 慈子, 金指, 努, 肘井, 直樹, 竹中, 千里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本森林学会 01.02.2015
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Summary:東京電力福島第一原子力発電所事故で汚染された福島県伊達郡川俣町の森林2 カ所において,大型で年一化,造網性のジョロウグモを対象に,放射性セシウム濃度を測定し,土壌の放射性セシウム存在量との関係,および事故後のジョロウグモ中の放射性セシウム濃度の推移を調べた。その結果,両調査地ともに,2013 年における土壌からジョロウグモへの土地面積当りで算出した移行係数(Tag)はおよそ 0.005 であり,ジョロウグモの汚染は,生息地土壌の汚染レベルに依存していた。また,137Cs 濃度は,2012 年(事故後1.5 年経過)に対し,2013 年(2.5 年経過)に採集した個体では,両調査地ともに約50~60% 程度 にまで低下しており,物理的減衰にもとづく予測よりも低い値となっていた。しかしながら,2013 年にもきわめて137Cs 濃度が 高いジョロウグモ(>9,000 Bq/kg dry)が採集されたことから,継続的なモニタリングの必要性が示唆された。
Bibliography:ZZ20018854
892637
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.97.70