能登周辺海域におけるマイワシ仔魚とカタクチイワシ仔魚の摂餌生態の違い

能登周辺海域において,主産卵期5月にマイワシ・カタクチイワシ仔魚の採集を行い,開口直後の食性を比較した.主要な餌は両種ともにカイアシ類の卵とOithona属のノープリウス幼生であり,仔魚の体長が増大するにつれて摂餌可能な餌が大型になった.体長5–10 mmの仔魚の空胃率はカタクチイワシの方が高く,成長するにつれてその割合は増加した.またカタクチイワシ仔魚はマイワシ仔魚に比べて,より早い成長段階から比較的体長・体幅の大きな餌を捕食しており,大型な餌生物に対する選択性が強かった.マイワシ仔魚の相対的に小型の餌料の捕食は,エネルギー効率は低いものの,比較的分布密度が高いカイアシ類の卵やノープリウス幼...

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Published inSuisan kaiyō kenkyū Vol. 87; no. 2; pp. 77 - 92
Main Authors 北島, 聡, 高橋, 卓, 後藤, 常夫, 井口, 直樹, 森本, 晴之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 水産海洋学会 25.05.2023
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ISSN0916-1562
2435-2888
DOI10.34423/jsfo.87.2_77

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Summary:能登周辺海域において,主産卵期5月にマイワシ・カタクチイワシ仔魚の採集を行い,開口直後の食性を比較した.主要な餌は両種ともにカイアシ類の卵とOithona属のノープリウス幼生であり,仔魚の体長が増大するにつれて摂餌可能な餌が大型になった.体長5–10 mmの仔魚の空胃率はカタクチイワシの方が高く,成長するにつれてその割合は増加した.またカタクチイワシ仔魚はマイワシ仔魚に比べて,より早い成長段階から比較的体長・体幅の大きな餌を捕食しており,大型な餌生物に対する選択性が強かった.マイワシ仔魚の相対的に小型の餌料の捕食は,エネルギー効率は低いものの,比較的分布密度が高いカイアシ類の卵やノープリウス幼生への依存度を高める摂餌様式と考えられた.一方,カタクチイワシ仔魚は,早期の発育段階から比較的分布密度が低く摂餌成功率は低いものの,大型でエネルギー効率が高いコペポダイト幼生や成体への依存度を早める摂餌様式と示唆された.
Bibliography:ZZ20015015
947557
ISSN:0916-1562
2435-2888
DOI:10.34423/jsfo.87.2_77