米麦二毛作体系における麦わらの処理方法が水田雑草の発生量と水稲の生育に及ぼす影響

本研究では,北部九州における今後の麦わら適正処理技術を確立するために,麦わらのすき込み処理と焼却処理の違いが雑草の発生消長および水稲生育に及ぼす影響について,現地圃場試験で検討するとともに,ポットによる追試験を行った.まず現地圃場において,麦わらの焼却とすき込みの処理の違いが水田雑草の発生と水稲生育に及ぼす影響を調査したところ,雑草発生の抑制効果は焼却に比べてすき込みした方が高かった.また,水稲の生育はすき込みで分げつが抑制されるものの,出穂後の登熟が向上し,増収する傾向がみられた.また,麦わらの雑草抑制効果についてポットで追試験を行ったところ,オオムギ,コムギいずれの麦わらをすき込んだ場合に...

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Published inJapanese journal of crop science Vol. 85; no. 2; pp. 122 - 129
Main Authors 秀島, 好知, 有馬, 進, 鈴木, 章弘, 牧山, 繁生, 森敬, 亮, 浅川, 将暁, 広田, 雄二, 大塚, 紀夫, 稲田, 稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作物学会 2016
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Summary:本研究では,北部九州における今後の麦わら適正処理技術を確立するために,麦わらのすき込み処理と焼却処理の違いが雑草の発生消長および水稲生育に及ぼす影響について,現地圃場試験で検討するとともに,ポットによる追試験を行った.まず現地圃場において,麦わらの焼却とすき込みの処理の違いが水田雑草の発生と水稲生育に及ぼす影響を調査したところ,雑草発生の抑制効果は焼却に比べてすき込みした方が高かった.また,水稲の生育はすき込みで分げつが抑制されるものの,出穂後の登熟が向上し,増収する傾向がみられた.また,麦わらの雑草抑制効果についてポットで追試験を行ったところ,オオムギ,コムギいずれの麦わらをすき込んだ場合にも,各種の水田雑草に対して強い発生抑制が認められた.雑草発生抑制効果は,経時的に低下するものの,水稲収穫時期の秋頃から麦作の出穂期の翌年春頃まで観察された.さらに,麦わら処理量の影響を検討した結果,実際に想定されるわら生産量に相当する20~40 kg/aを処理した場合は,雑草抑制効果が認められたが,その1/10程度の少量処理ではむしろ雑草の生育を助長する可能性が示唆された.以上の結果から,麦わらの処理は焼却よりもすき込みが適しており,麦わら生産全量をすき込むのが望ましいと考えられた.
Bibliography:902315
ZZ00014890
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.85.122