西日本暖地では北海道育成コムギ品種ハルユタカは茎立期あるいは開花期に窒素追肥しても粒重が増加しなかった

西日本で北海道育成のコムギ品種ハルユタカを栽培するにあたり, 茎葉の繁茂を促さずに登熟期間の群落の純同化率を高めて粒重を高めることを目的に, 九州育成のコムギ品種ダイチノミノリを比較対照として, 1999/2000年には茎立期に, 2000/2001年には開花期に追肥処理を行った. その結果, 両年・両品種ともに追肥処理による粒重の有意な増加は認められなかった. さらに, 両年ともにハルユタカでは追肥処理により登熟期間の純同化率(NAR)が増加せず, 個体群成長速度(CGR)も増加しなかった. 2000/2001年における植物体の窒素動態についてみると, 植物全体の窒素重量は, 両品種とも追肥...

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Published inJapanese journal of crop science Vol. 73; no. 3; pp. 268 - 275
Main Authors 飯山, 豪, 高橋, 肇, 島内, 佳奈恵, 中川, 悠子, 柴田, 香織
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作物学会 2004
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ISSN0011-1848
1349-0990
DOI10.1626/jcs.73.268

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Summary:西日本で北海道育成のコムギ品種ハルユタカを栽培するにあたり, 茎葉の繁茂を促さずに登熟期間の群落の純同化率を高めて粒重を高めることを目的に, 九州育成のコムギ品種ダイチノミノリを比較対照として, 1999/2000年には茎立期に, 2000/2001年には開花期に追肥処理を行った. その結果, 両年・両品種ともに追肥処理による粒重の有意な増加は認められなかった. さらに, 両年ともにハルユタカでは追肥処理により登熟期間の純同化率(NAR)が増加せず, 個体群成長速度(CGR)も増加しなかった. 2000/2001年における植物体の窒素動態についてみると, 植物全体の窒素重量は, 両品種とも追肥処理区でのみ開花期から成熟期まで増加した. 子実の窒素重量は両品種, 両処理とも, とくに乳熟期から成熟期までに大きく増加し, 成熟期では植物体全体の窒素重量のほとんどを占めていた. 乳熟期における葉身ならびに成熟期における子実の窒素含有率は, 両品種とも追肥処理により有意に増加した. これらのことから, 追肥処理は, 両品種ともに植物体の窒素吸収量を高め, 葉身の窒素含有率を高めて, これを登熟後期に子実へと転流させた結果, 子実の窒素含有率を高めたものと推察した. しかしながら, 追肥をしてもNAR, CGRは高まらず, 粒重は増加しなかった. これは, とくにハルユタカでは, 過繁茂状態の群落において窒素追肥により群落内部の葉身の呼吸が高まったためであろうと推察した.
Bibliography:701294
ZZ00014890
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.73.268