空撮によって得られた生殖成長期の植生指数によるダイズ子実収量の解析

本研究は市販のマルチスペクトルカメラを用いてダイズの葉身および地上部窒素含量の最もよい指標となる植生指数を明らかにすることおよび植生指数やその変化量が子実収量と最も高く相関する生殖成長期のステージあるいは期間を明らかにすることを目的とした.植生指数とダイズの地上部窒素含量および葉身窒素含量との関係の調査は2018年および2019年に行い,植生指数と子実収量との関係の調査は2019年に行った.両年とも狭畦栽培区と慣行栽培区を設け,それぞれ2~3水準の栽植密度を設けた.生育の各期にUAV(Unmanned Aerial Vehicle)に搭載したマルチスペクトルカメラにより圃場を撮影し,地上基準点...

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Published inJapanese journal of crop science Vol. 90; no. 3; pp. 261 - 268
Main Authors 永畠, 秀樹, 島田, 雅博, 藤原, 洋一, 吉藤, 昭紀, 塚口, 直史, 丹保, 彩香, 今本, 裕士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作物学会 05.07.2021
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ISSN0011-1848
1349-0990
DOI10.1626/jcs.90.261

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Summary:本研究は市販のマルチスペクトルカメラを用いてダイズの葉身および地上部窒素含量の最もよい指標となる植生指数を明らかにすることおよび植生指数やその変化量が子実収量と最も高く相関する生殖成長期のステージあるいは期間を明らかにすることを目的とした.植生指数とダイズの地上部窒素含量および葉身窒素含量との関係の調査は2018年および2019年に行い,植生指数と子実収量との関係の調査は2019年に行った.両年とも狭畦栽培区と慣行栽培区を設け,それぞれ2~3水準の栽植密度を設けた.生育の各期にUAV(Unmanned Aerial Vehicle)に搭載したマルチスペクトルカメラにより圃場を撮影し,地上基準点の位置情報を利用してオルソ化し,各波長の反射率をもとに植生指数を求めた.撮影後3日以内に地上部の刈取調査を行い葉身,莢およびその他の部分の窒素含量を求めた.成熟後に各区の収量調査を行った.地上部刈取調査に対応するエリアの各植生指数を求めた.地上部窒素含量および葉身窒素含量との間の決定係数R2が高かった植生指数は緑正規化植生指数(GNDVI)であったが,クロロフィル指数(緑)(CIGreen)は窒素含量が高くなっても線形の関係を維持した.CIGreenが子実収量と有意な正の相関を示す生育ステージはなかった.一方R1からR5の期間のCIGreenの変化量ΔCIGreen(R1–R5)は子実収量との間に有意な正の相関が認められ,子実数および百粒重とも有意な正の相関を示した.以上のことからΔCIGreen(R1–R5)をもとにダイズ子実収量を推定できる可能性が示唆された.
Bibliography:ZZ00014890
938374
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.90.261