湛水条件下で栽培したダイズにおける二次通気組織の形成と生育·収量

湛水田におけるダイズ栽培の可能性について検討するため, 二次通気組織が良く発達するダイズ品種アソアオガリを用い, 湛水条件下における二次通気組織の形成経過, 乾物重の推移および子実収量を調査した. ポット栽培および圃場栽培実験を行い, 初生葉展開期から必要に応じて潅水する潅水条件 (対照区) と水位を土壌表面上約3cmに保つ湛水条件 (湛水区) で栽培した. 両実験において, 湛水区のダイズは枯死することなく収穫まで至った. 対照区では, 二次通気組織は胚軸, 主根, 不定根および根粒のいずれにもほとんど形成されなかったが, 湛水区では, 生育初期から形成が認められ, 形成量は生育に伴って増加...

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Published inJapanese journal of crop science Vol. 72; no. 1; pp. 25 - 31
Main Authors 島村, 聡, 望月, 俊宏, 名田, 陽一, 福山, 正隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作物学会 2003
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Summary:湛水田におけるダイズ栽培の可能性について検討するため, 二次通気組織が良く発達するダイズ品種アソアオガリを用い, 湛水条件下における二次通気組織の形成経過, 乾物重の推移および子実収量を調査した. ポット栽培および圃場栽培実験を行い, 初生葉展開期から必要に応じて潅水する潅水条件 (対照区) と水位を土壌表面上約3cmに保つ湛水条件 (湛水区) で栽培した. 両実験において, 湛水区のダイズは枯死することなく収穫まで至った. 対照区では, 二次通気組織は胚軸, 主根, 不定根および根粒のいずれにもほとんど形成されなかったが, 湛水区では, 生育初期から形成が認められ, 形成量は生育に伴って増加した. また, 胚軸の空隙率は生育期間を通じて対照区に比べて高かった. ポット栽培の湛水区では, 植物体は小型化し, 子実収量も減少したが, 圃場栽培では, 密植により, 対照区と同程度の面積当たり稔実莢数や稔実粒数が得られ, 子実収量は300g/m2以上であった. 以上の結果から, 本品種は湛水条件下では二次通気組織を速やかに形成し, これを生育後期まで維持することによって, 常時湛水条件下においても生育を全うしたものと推察され, 湛水田におけるダイズ栽培の可能性が示唆された.
Bibliography:670535
ZZ00014890
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.72.25