高湿度冷蔵庫を利用した短期貯蔵がアスパラガスの貯蔵および陳列期間中の品質変化に及ぼす影響

アスパラガス(Asparagus officinalis L.)は収穫後の代謝活性が非常に高く,品質を維持するには低温条件で貯蔵することが非常に重要である.本研究では,通常の冷蔵庫では困難な低温かつ高湿度条件を作り出す高湿度冷蔵庫による貯蔵がアスパラガスの若茎の重量,伸長および品質に及ぼす影響を調査した.高湿度冷蔵庫と冷蔵庫でアスパラガスを貯蔵し,経時的にそれらの重量と長さを調査した結果,貯蔵11時間以降,冷蔵庫区より高湿度冷蔵庫区で,若茎の重量と長さの減少量は有意に小さくなり,高湿度冷蔵庫が貯蔵中の若茎の重量減少抑制に有効であることが明らかとなった.次に,各試験区における貯蔵が販売所での陳列...

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Published inEngeigaku kenkyuu Vol. 21; no. 4; pp. 483 - 489
Main Authors 中野, 龍平, 中崎, 鉄也, 比留間, 直也, 滝澤, 理仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 園芸学会 2022
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ISSN1347-2658
1880-3571
DOI10.2503/hrj.21.483

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Summary:アスパラガス(Asparagus officinalis L.)は収穫後の代謝活性が非常に高く,品質を維持するには低温条件で貯蔵することが非常に重要である.本研究では,通常の冷蔵庫では困難な低温かつ高湿度条件を作り出す高湿度冷蔵庫による貯蔵がアスパラガスの若茎の重量,伸長および品質に及ぼす影響を調査した.高湿度冷蔵庫と冷蔵庫でアスパラガスを貯蔵し,経時的にそれらの重量と長さを調査した結果,貯蔵11時間以降,冷蔵庫区より高湿度冷蔵庫区で,若茎の重量と長さの減少量は有意に小さくなり,高湿度冷蔵庫が貯蔵中の若茎の重量減少抑制に有効であることが明らかとなった.次に,各試験区における貯蔵が販売所での陳列・棚持ち期間中の若茎の品質に及ぼす影響を明らかにするため,各冷蔵方式により0~72時間貯蔵した若茎を冷蔵ショーケースで3日間水につけて保管し,保管後の若茎の品質を調査した.その結果,両試験区間に大きな差は認められなかったものの,高湿度冷蔵庫での貯蔵は若茎の急激な重量の増減を抑制したことから,収穫直後の効果的な短期冷蔵技術であると考えられた.また,高湿度区では貯蔵時間が長くなるにつれ,保管後の若茎の重量と伸長量の増加量が小さくなり,糖度が高くなることが判明した.これは低温下での貯蔵が若茎の代謝活性を抑制し,それが若茎の伸長を抑制したことに起因すると考えられた.本研究の結果から,アスパラガスの貯蔵における高湿度冷蔵庫の有用性が示されるとともに,低温下での貯蔵時間が保管後の若茎の品質に影響を与える可能性が示された.この成果はアスパラガスの貯蔵・出荷の体系を考える上での有用な知見となると考えられる.
Bibliography:945414
ZZ20004168
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.21.483