共生rickettsiaの精子伝播

カメムシ目には栄養の偏った食餌を摂る昆虫が多く属しているが,それらの昆虫は自身では必須な栄養素を全て合成することができない。不足する栄養分を補う役割をする細菌や酵母を体内に棲まわせることで,偏った食生活に適応している。また,昆虫の生存に必要な共生細菌(必須共生細菌)ばかりではなく,必ずしも生存に必要ではない細菌(任意共生細菌)が昆虫の体内に数多く存在する。任意共生細菌の中には,自己の繁殖に有利になるようにホスト昆虫を操るものが知られる。例えば,Wolbachiaはホスト昆虫の生殖を利己的に操作することで,自身の次世代伝播を有利にしている(Werren et al.,2008)。また,自身が感染...

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Published inSanshi, konchū baiotekku Vol. 83; no. 3; pp. 3_239 - 3_242
Main Author 渡部, 賢司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 01.12.2014
日本蚕糸学会
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ISSN1881-0551
1884-7943
DOI10.11416/konchubiotec.83.3_239

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Summary:カメムシ目には栄養の偏った食餌を摂る昆虫が多く属しているが,それらの昆虫は自身では必須な栄養素を全て合成することができない。不足する栄養分を補う役割をする細菌や酵母を体内に棲まわせることで,偏った食生活に適応している。また,昆虫の生存に必要な共生細菌(必須共生細菌)ばかりではなく,必ずしも生存に必要ではない細菌(任意共生細菌)が昆虫の体内に数多く存在する。任意共生細菌の中には,自己の繁殖に有利になるようにホスト昆虫を操るものが知られる。例えば,Wolbachiaはホスト昆虫の生殖を利己的に操作することで,自身の次世代伝播を有利にしている(Werren et al.,2008)。また,自身が感染したホスト昆虫の天敵に対する防衛機能を増強する共生細菌(Oliver et al.,2003; Tsuchida et al.,2010)やホスト昆虫の植物適応性を広げる共生細菌(Tsuchida et al.,2004; Hosokawa et al.,2007)などはホスト昆虫の繁殖を助けることで,自身の繁殖を有利にしていると言える。
Bibliography:891003
ZZ20023854
ISSN:1881-0551
1884-7943
DOI:10.11416/konchubiotec.83.3_239